「企業間のトラブルはどこに相談したらいいの?」
「中小企業間のトラブルの事例が知りたい」
「トラブルを未然に防ぐためにはどうしたらいい?」
事業を運営していく上で、思わぬところからトラブルが発生する可能性は避けられません。トラブルを解決するためには、専門の機関に相談するのが最も効果的です。
しかし、中小企業が抱えるトラブルの事例は多岐にわたります。そのため「どこの機関に相談したら良いか分からない」という悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、
- 中小企業が頼れるトラブル相談窓口
- 中小企業が抱えるトラブルの事例
- トラブルを未然に防ぐための対策
について解説します。社外のトラブルだけでなく、社内のトラブルで悩まれている方にも参考となる記事になっているので、ぜひ最後までお読み下さい。
中小企業がトラブルを抱える要因
中小企業が抱えるトラブルの多くは、企業間で発生しています。事業を進める上で、さまざまな企業と取引する必要があるため、その分トラブルが多くなります。特に、企業間の取引にはクーリングオフが効かない点に注意しましょう。
国民生活センター公式HPによると、クーリングオフとは「契約を申し込んだり契約を結んだ後でも、契約書面を受け取って8日以内であれば、無条件で契約の申込撤回や解除ができる制度」です。クーリングオフは、一般消費者の場合は適用されますが、事業者間の取引は適用されません。
そのため、企業間においては、契約上のトラブルが発生しやすいという背景があります。万が一トラブルが起きてしまった場合は、早急に相談先を見つけて対策を講じましょう。
中小企業が頼れるトラブル相談窓口3選
トラブルを大きくしないためには、専門家の意見を聞いて素早く適切な対応をとることが大切です。ここでは、トラブルが起きた際の相談先を3つ紹介します。
- ひまわりほっとダイヤル
- 下請かけこみ寺
- 顧問弁護士
詳しく見ていきましょう。
1. ひまわりほっとダイヤル
ひまわりほっとダイヤルは、弁護士との面談予約が電話でできるサービスです。懇意にしている弁護士がいない場合でも、ひまわりほっとダイヤルを利用すれば紹介してもらえます。本サービスは、日本弁護士連合会と全国の52の弁護士会によって提供されています。
2010年4月から2020年12月までに約6万件の相談に対応した実績があり、信頼性が高い相談窓口です。初回30分の相談が無料(一部都道府県を除く)であることに加え、オンライン申し込みにも対応しています。ひまわりほっとダイヤルの概要は、以下の通りです。
- 電話番号:0570-001-240
- 受付時間:月曜~金曜(祝日除く)10:00~12:00/13:00~16:00
- 予約リンク:ひまわりほっとダイヤルセンターオンライン申込
2. 下請かけこみ寺
下請かけこみ寺は、企業間取引に詳しい相談員や弁護士に無料で相談できるサービスです。取引に関する相談内容であれば、業種を問わず対応してくれます。また、匿名での相談ができるため、企業名を伏せたい方にもおすすめのサービスです。
2020年には、9,000件以上の相談を受けている人気のある相談窓口です。特に、代金の未払いに関する相談が最も多く全体の20%を占めており、取引に関するトラブルに強みがあります。相談の形式は、以下の3つから選択可能です。
- 電話相談
- オンライン相談
- 対面相談
希望の相談形式を選択し、無料相談を予約できます。下請かけこみ寺の概要は以下の通りです。
3. 顧問弁護士
顧問弁護士とは「企業を運営する上で起こる法律上の問題や不安点について、日常的に相談できる弁護士」を指します。顧問弁護士と契約しておけば、トラブルが起きた際にすぐに相談できるため、急いで相談先を探す必要はありません。
また、普段から法律的な視点から助言をもらえるため、トラブルに発展する前に効果的な予防策を打ちやすくなります。会社で顧問弁護士を契約しておくことは、トラブルに備える上で、効果的な手段と言えるでしょう。
関連記事の「【これで安心】弁護士と顧問契約を行うメリット8選デメリット3選!探し方・選び方も解説」では弁護士を顧問契約するメリットを解説しています。こちらもぜひ確認してみてください。
中小企業が抱えるトラブルの相談事例4選
中小企業が抱えがちなトラブルの事例には、いくつかのパターンがあります。ここでは、代表的な相談事例を4つ紹介します。
- 売買契約に関するトラブル
- リース契約に関するトラブル
- 損害賠償請求に関するトラブル
- 債権回収に関するトラブル
詳しく見ていきましょう。
1. 売買契約に関するトラブル
売買契約のトラブルは、提供した商品やサービスの品質に、買い手側の企業が満足しなかった時に発生します。売買契約に関する典型的なトラブル例は、以下の通りです。
- 代金の支払いがない
- 商品の作り直しを要求された
- 取引が打ち切られた
- 値下げを要求された
トラブルを防ぐためには、あらかじめ納品物の品質や納期などについて、契約時に細かく合意を形成しておくことが大切です。
関連記事の「【法人向け】契約トラブルが発生した際の相談先3選!問題を未然に防ぐ3つの対策を紹介」では、特に契約に関するトラブルについて解説しています。こちらもぜひ確認してみてください。
2. リース契約に関するトラブル
会社の備品を全て購入するのではなく、リース契約でそろえている企業は多いです。しかし、IT機器などのリース品に不具合が頻発してしまうと、業務に支障が出てしまい、生産性が落ちてしまいます。
オフィス用品をリースすれば初期投資を抑えられるものの、品質によってトラブルの原因になる可能性がある点に注意が必要です。リース契約でトラブルに発展する典型的な例は、以下の通りです。
- リースした機器の故障が頻発する
- 解約料が高額過ぎる
- メンテナンス費用が高額過ぎる
リース契約は、解約料の請求やメンテナンス料が高すぎるといったトラブルが多いです。無用なトラブルを避けるために、契約時には以下の項目を確認しておきましょう。
- リースの期間
- 中途解約の条件
- リースの対象
契約内容を把握することで、あらかじめトラブルに発展しそうなポイントを予見できます。疑問点があれば、契約前にリース業者に確認しておきましょう。
3. 損害賠償請求に関するトラブル
事業を運営していく中で損害賠償を請求したり、逆に請求を受けたりする可能性は0ではありません。損害賠償を求められる理由は、以下のような事例があります。
- 納品が遅れたことで業務に影響が生じたから
- 特許権などの他社の権利を侵害したから
- 製品やサービスに欠陥があったから
もし損害賠償を請求された場合は、迅速に対応することが何よりも大切です。相手の主張に理解を示しつつ、因果関係が認められない点はしっかりと反論しなくてはなりません。弁護士からの助言を受けつつ、根気よく交渉をしていきましょう。
4. 債権回収に関するトラブル
債権回収とは「期限通りに支払われなかった金銭を債権者が回収すること」を指します。受注者が商品やサービスを納品後に請求書を発行し、発注者が支払期限内に支払いを済ませることで取引が完了するのが一般的な流れです。しかし、期日までに金銭が支払われなかった場合、債権回収のトラブルへと発展します。
具体的な事例は、以下の通りです。
- 債務者と連絡が取れない
- 債務者がクレームを付けて支払いを拒否する
- 債務者の経営状況が悪化しており、支払いに対応してもらえない
このような場合は、早急に弁護士に相談することをおすすめします。弁護士が代理人となって内容証明郵便を送付すれば、債務者が速やかに支払いに応じるケースは多いです。
また債務者側も弁護士に依頼していた場合でも、弁護士同士の話し合いによって合理的な支払い計画が提案され、事態の収集が早くなることが期待できます。
関連記事の「【完全版】債権回収とは?速やかに対応するべき3つの理由と実施方法や相談先を紹介」では債権回収について詳しく解説しています。こちらもぜひご覧ください。
中小企業のトラブルを未然に防ぐ4つの対策
事業を運営していく上で、無用なトラブルは避けるに越したことはありません。ここでは、トラブルを未然に防ぐための対策を紹介します。
- 取引先の情報収集を欠かさない
- 契約書のリーガルチェックを受ける
- 合意内容は文書化する
- 相談先を見つけておく
それでは、1つずつ解説していきます。
1. 取引先の情報収集を欠かさない
取引先の情報収集を綿密に行っておくことで、問題のある企業と知らずに、取引することを避けられます。相手企業の担当者が優秀だったとしても、必ずしも良い会社とは限りません。思わぬトラブルを抱える原因にならないよう、最低限確認しておくべき取引先企業の情報は以下の3つです。
- 商業登録簿
- 資本金
- 所在地
さらに、信用調書を取得して取引先の与信を調べておくことをおすすめします。特に自社が受注者である場合は、取引先企業の支払い能力を把握しておくのは重要です。
2. 契約書のリーガルチェックを受ける
契約書を作成する際に、企業法務に詳しい弁護士のリーガルチェックを受けることで、避けられるトラブルは多いです。将来的に問題が発生しそうなポイントを想定し、トラブルを避けるための規定を、あらかじめ契約書に盛り込んでおきましょう。
また、リーガルチェックを受けることで違法性の確認だけでなく、契約書の書き方のアドバイスも受けられます。そのため、契約書を作成する際は弁護士に依頼して、リーガルチェックを受けることをおすすめします。
3. 合意内容は文書化する
口頭説明のみで契約を締結するのは避け、契約時に合意した内容は文書化しておきましょう。なぜなら、契約時の合意内容を確認できる文書がないと、相互間で合意した内容に認識の齟齬が生じる可能性があるからです。このようなわずかな認識のずれが、後々大きなトラブルになるケースは後を絶ちません。
特に、契約を解除する際の条件や費用については、契約時にしっかり確認しておきましょう。合意した内容は、後から確認できるように契約書として文書化をおすすめします。
4. 相談先を見つけておく
トラブルに発展してしまった場合に備えて、相談先をあらかじめ見つけておくと良いでしょう。中小企業におけるトラブル対応の場合は、企業法務に強い弁護士と雇用契約を結んでおくと心強いです。
顧問弁護士を契約しておけば、自社の業務内容や経営方針を理解した上で対応をしてくれます。そのため、トラブルの収束が迅速で、かつ理想的な結果を得られる可能性が高くなるでしょう。
顧問弁護士を契約しない場合でも、トラブルが起きる前から相談できる弁護士をあらかじめ準備しておくことが大切です。問題が大きくなる前に弁護士に相談することで、未然に防ぐための的確な助言をもらえます。
まとめ
自分の会社を守るためには、問題が起きる前からさまざまな対策を立てておくことが大切です。また、万が一トラブルに巻き込まれた場合に備えて、あらかじめ相談できる弁護士を見つけておきましょう。特に、企業におけるトラブルについては、企業法務に精通した弁護士に相談するのがおすすめです。
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