「コールセンターへの理不尽なクレームや暴言に困っている」
「カスハラ対策をしてオペレーターの離職を防ぎたい」
「悪質なクレーマーに立ち向かうために企業ができることは?」
顧客による暴言や理不尽な行為は「カスタマーハラスメント」と呼ばれ、企業はその被害から従業員を守る義務があります。顧客からのカスタマーハラスメントに悩まされている、コールセンターの従業員を守りたいですよね。
カスタマーハラスメント対策を行わないと、オペレーターの休職率や離職率が増えてしまうだけではありません。企業が訴えられてしまうリスクもあるので、注意が必要です。
そこで、この記事では
- コールセンターへのカスタマーハラスメントが増える背景
- カスタマーハラスメントによる損失
- コールセンターでできる対策
について解説します。顧客と従業員の両方から愛される企業でいるためにも、カスタマーハラスメント対策を学んでおきましょう。カスタマーハラスメントの相談先も紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
コールセンターへのカスタマーハラスメントが増える背景とクレームとの違い
近年、コールセンターへのカスタマーハラスメントが増えてきています。コールセンターでできる対策を考えるために、まずはカスタマーハラスメントに関する知識を深めることが重要です。
そこで、ここでは下記の3つを紹介します。
- カスタマーハラスメントの定義
- コールセンターでの被害が増える背景
- カスタマーハラスメントとクレームの違い
それでは、解説していきます。
1. カスタマーハラスメントの定義
カスタマーハラスメントとは「要求内容、又は、要求態度が社会通念に照らして著しく不当であるクレームや顧客からの迷惑行為」です。
つまり、顧客から常識を超える過度な要求や暴言などを受けたケースは、カスタマーハラスメントに分類されます。迷惑行為をする顧客は、お金を払う側の有利な立場を利用して、横柄な態度をとってしまうのです。
カスタマーハラスメントの意味については、関連記事の「【徹底解説】カスタマーハラスメントの意味と企業がとるべき対策7選【相談先紹介あり】」にて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
2. コールセンターへのカスタマーハラスメントが増える背景
コールセンターでのカスタマーハラスメント増加には、下記のような背景が挙げられます。
- 実店舗の減少による問い合わせ増加
- 顔が見えない間接的コミュニケーション
実店舗が減少すると、顧客からの問い合わせを電話やメールなどで受ける機会が増加します。さまざまな通信手段の中でも電話は、問い合わせる手間がかからず思ったことをすぐに伝えられることが特徴です。
さらに、電話は年齢問わず使いやすいことから、コールセンターに問い合わせが集中しやすくなってしまうのです。
また、電話でのやり取りはお互いが直接顔を合わせることのない間接的コミュニケーションです。自分の顔が見られないことで、顧客がヒートアップしやすい傾向があります。
コールセンターのカスタマーハラスメント被害は今後も増加する可能性があるので、今のうちから対策するようにしましょう。
3. カスタマーハラスメントとクレームの違い
カスタマーハラスメントは、顧客からの不当なクレームや迷惑行為です。つまり、カスタマーハラスメントには、クレームの中でも不当なものが含まれているのです。
不当なクレームとして、下記が挙げられます。
- 軽微な過失で社長の謝罪を要求する
- 大声で怒鳴りつける
- 従業員を長時間拘束する
- 必要以上の損害賠償を請求する
このような不当なクレームは迷惑行為なので、顧客の要求に従順に従うのみでなく、毅然とした態度で対応する必要があります。
カスタマーハラスメントと正当なクレームの線引きは難しく、オペレーターによって対応の差が生じる可能性があります。そのような状況を防ぐため、弁護士など専門家の意見に基づいた判断基準を、マニュアルに記載するのがおすすめです。
カスタマーハラスメントによるコールセンターの損失
コールセンターで悪質なクレームに適切に対応できないと、下記のような損失が発生してしまいます。
- 他の顧客に迷惑がかかる
- オペレーターの休職・離職に繋がる
- 悪評が広がる
カスタマーハラスメントに適切に対応できなかった結果、どのような悪影響が生じてしまうのか見ていきましょう。
1. 他の顧客に迷惑がかかる
カスタマーハラスメントへの対応が長引くと、他の顧客とやり取りする時間が削られてしまいます。カスタマーハラスメントに遭遇すると、長時間説教をされたり何度も連絡されたりすることが多いです。
このような業務妨害を阻止できないまま時間が経過してしまうと、他の顧客に迷惑がかかってしまいます。
全ての顧客にしっかりと対応するためにも、カスタマーハラスメントに適切に対応して長引かせないことが重要です。
2. オペレーターの休職・離職に繋がる
カスタマーハラスメントへの対策が不十分だと、オペレーターの休職率や退職率が高まってしまいます。オペレーターは顧客の怒りを沈めるため、頻繁に謝罪したり気を遣ったりしなければならなりません。
コールセンターの従業員は、常にストレスを感じやすい状況にあります。カスタマーハラスメント対策やストレスケアが十分でないと、オペレーターは精神的に追い詰められてしまいます。
また、企業は従業員が安全で健康に働くことができるように配慮する義務(安全配慮義務)を負っています。カスタマーハラスメントに対して適切に対応をしなかった結果、従業員から損害賠償請求された事例もあるので注意しましょう。
3. 悪評が広がる
顧客に対して適切な対応ができないと、悪評が広がってしまうリスクがあります。顧客がコールセンターの対応が不適切だと感じれば、周囲に批判的な意見を伝えたり、SNSに書き込んだりします。
投稿の内容が事実とは異なる場合でも、悪評が拡散してしまったら企業のイメージを傷つけてしまうでしょう。
そのため悪質なクレームへの対応は、迅速かつ適切に行うようにしましょう。毅然とした態度で対応し、悪質性の高いものは弁護士や警察に依頼して沈静を図るのがおすすめです。
コールセンターの離職率を下げるカスタマーハラスメント対策5選
コールセンターの従業員が気持ちよく働けるように、組織でカスタマーハラスメントに立ち向かうのがポイントです。会社全体で対応することで、オペレーターが安心して業務を行えるようになります。
ここでは、コールセンターでできるカスタマーハラスメント対策を5つ紹介します。
- 研修を実施する
- 電話を切るためのルールを作る
- 電話に録音機能をつける
- 社内で情報共有する
- 社内に相談窓口を設置する
それでは、順番に解説していきます。
1. 研修を実施する
コールセンターの従業員を対象とした、研修を実施するのがおすすめです。カスタマーハラスメントの場面を想定して研修することで、コールセンターの従業員は安心して業務に当たれるようになります。
しかし、カスタマーハラスメント対策を企業で取り組むとはいえ、実際に顧客の対応をするのは個々のオペレーターです。一人一人が悪質なクレームに対応できるよう、出来る限り全員が練習する場を設けましょう。
研修を重ね練習通りに対応できるようになれば、カスタマーハラスメントによる従業員のストレスを軽減する効果が期待できます。
2. 電話を切るためのルールを作る
社内で「カスタマーハラスメントの電話を切るためのルール」を作るのは良い方法です。悪質なクレームの電話は長時間に及ぶことが多いので、対応時間の上限を設定します。
設定した時間になったタイミングで「電話対応時間は◯分と定められているので終了させていただきます」と伝えましょう。
このルールは、コールセンター業務のマニュアルに組み込み、オペレーターがいつでも確認できるようにしてください。マニュアルがあれば、悪質な電話がかかってきても一律に対応できます。
カスタマーハラスメントの対応マニュアルについては、関連記事の「【5分で分かる】カスタマーハラスメント対応マニュアルの作り方【内容から運用のコツまで網羅】」にて詳しく解説しています。マニュアル作成に必要な情報をまとめているので、ぜひご覧ください。
3. 電話に録音機能をつける
電話に録音機能をつけると、カスタマーハラスメントの証拠を押さえられます。さらに録音することを顧客に伝えれば、暴言や理不尽な要求を牽制する効果も期待できます。
コールセンターの場合、電話を受ける際に会話を録音する旨の音声を流すのがおすすめです。顧客が話し始める前に録音する旨を伝えることで、カスタマーハラスメントを未然に防げるケースもあります。
4. 社内で情報共有する
よくあるクレームを、社内で共有できる仕組みを作りましょう。情報共有しておけば、カスタマーハラスメントを受ける場面を事前にイメージできます。
対応したことのない事象でも、その場で混乱してしまうのを防げます。また、クレームの内容だけでなく対応方法も共有すると、一件一件のカスタマーハラスメントに頭を悩ませることなく対応できます。
特にコールセンターでは、特定の顧客に毎回同じオペレーターが対応するわけではありません。カスタマーハラスメントに関する情報共有は、有効な対策となり得るでしょう。
5. 社内に相談窓口を設置する
カスタマーハラスメントが、オペレーターだけでは解決できない大きな問題に発展することがあります。その時にすぐに相談できるよう、社内に相談窓口を設置するのがおすすめです。
相談窓口を設置しておけば、急を要する事例が発生した際でも対応しやすくなります。また、カスタマーハラスメントの対応に役立つだけでなく、オペレーターのストレスケアもできる窓口にするのが好ましいです。
コールセンターの従業員が困ったときにすぐに頼れるよう、窓口への相談方法をマニュアルに記載しておきましょう。オペレーターが気兼ねなく相談できるよう、内容が外にもれない体制にしておくことも重要です。
カスタマーハラスメントの相談窓口については、関連記事の「【保存版】企業が使えるカスタマーハラスメントの相談窓口3選【社内の対策も紹介】」にて詳しく解説しています。設置方法だけでなく、企業が使える相談窓口も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
カスタマーハラスメントの相談先
カスタマーハラスメントを受けたとき、どこに相談したら良いかわからない方が多いのではないでしょうか。ここでは、カスタマーハラスメントの相談先を3つ紹介します。
- 弁護士
- 警察
- 保険会社
順番に紹介していくので、事象に応じてどこに依頼するべきか参考にしてみてください。
1. 弁護士
カスタマーハラスメントの相談先として、最も一般的なのは弁護士です。弁護士であれば、法律に基づいた対処方法を示してくれます。
また、実際にカスタマーハラスメントに発展する前のクレーム対応から相談可能です。社内研修やマニュアル作成をサポートしてくれる弁護士もいるので、問い合わせた際に確認してみましょう。
最悪のケースとして顧客と裁判になった場合でも、そのまま対応してもらえます。証拠集めなどを考えても、早期の段階から弁護士に相談しておくことはおすすめです。
2. 警察
弁護士の次に相談件数が多いのが警察です。カスタマーハラスメントの内容が脅迫罪や強要罪などの刑法に触れる場合は、警察に通報するのがおすすめです。
ただし、警察はカスタマーハラスメントが発生しても、事件性がないと動いてもらえません。そのため、どのようなカスタマーハラスメントが刑法に触れるかあらかじめ知っておくのが重要です。
警察が介入できるカスタマーハラスメントについては、関連記事の「 【解決】カスタマーハラスメント被害で警察に頼れるのか?7つのケースと対処法を紹介」にて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
3. 保険会社
カスタマーハラスメントに対応した保険に加入して、保険会社に相談するという選択肢もあります。加入者であれば、悩んだときにすぐに相談可能です。
補償内容は商品によって異なりますが、カスタマーハラスメントの相談や弁護士費用の負担などを行ってもらえます。
カスタマーハラスメントに関わる、さまざまな手続きを代行してもらえます。一方で、毎月支払う保険料を考慮して、加入するか検討しましょう。
まとめ
コールセンターの従業員を守るだけでなく、顧客に愛される企業でいるためにもカスタマーハラスメントへの適切な対応が重要です。企業には、従業員を守る義務があります。全てオペレーター任せにするのではなく、組織でカスタマーハラスメントに立ち向かいましょう。
すでにコールセンターがカスタマーハラスメントの被害を受けている場合は、早期の相談をおすすめします。カスタマーハラスメントは法律的な線引が難しいため、専門家へ相談するのが良いでしょう。
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