「カスタマーハラスメントについて、厚生労働省のマニュアル・ガイドラインを知りたい」
「厚生労働省はカスタマーハラスメントに対して、どう取り組んでいるの?」
「カスタマーハラスメントの対策はどうしたらいい?」
カスタマーハラスメントに対して、自社でどのように対応するか悩んでいる方が多いと思います。そのため、厚生労働省の指針を参考にしたいと考えている方がいるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、2021年11月時点では、カスタマーハラスメントに関する厚生労働省のマニュアル・ガイドラインはありません。とはいえ、具体的な対策は発表しており、どのような取り組みを行えば良いのかは明確です。
そこでこの記事では、
- 厚生労働省の指針や今後の取り組み
- 問題視しているポイント
- 企業が取るべき対策
などを解説します。カスタマーハラスメント問題に悩んでいる方に向けて相談先も紹介するので、ぜひご一読ください。
【2021年11月現在】カスタマーハラスメントに関する厚生労働省のマニュアル・ガイドラインはない
2021年11月時点では、カスタマーハラスメントに関する厚生労働省のマニュアル・ガイドラインはありません。
しかし、悪質クレームの対策についての会議は、2015年から行われています。特に注目すべきなのは、2020年12月に国会フォーラムで開催された「カスタマーハラスメント 実態調査 緊急報告集会」です。この会議をきっかけに、国会の中で悪質クレーム対策の認知が上がり、今後の取り組みを進めていくこととなりました。
なお、厚生労働省は、2022年3月末(令和3年度)までに、企業向けのマニュアルを作成することを発表しています。そのため、今後はカスタマーハラスメントに対して、明確な指針が出ることが期待されています。
(参考:第1回 顧客等からの著しい迷惑行為の防止対策の推進に係る関係省庁連携会議|厚生労働省)
カスタマーハラスメントについて厚生労働省が問題視するポイント
厚生労働省は、カスタマーハラスメントについて問題視しています。主な要因は、以下の2点です。
- 労働者の精神衛生上の問題
- 顧客からのハラスメントによる企業損失
これらの内容は、カスタマーハラスメントの危険性を表すものでもあります。対策を行う前に、リスクを理解しておきましょう。
1. 労働者の精神衛生上の問題
厚生労働省は、カスタマーハラスメントが原因で、従業員にストレスがかかることを危惧しています。
主な事例として、レジ打ちの際に急いでいる顧客から時間的なプレッシャーを感じたり、商品に対するクレームや過剰な要求に対して対応を迫られたりすることなどが上げられます。このような状況が続けば、労働者に精神的負担がかかるでしょう。
従業員の心の健康を保つためには、カスタマーハラスメントについて対策を考える必要があります。
2. 顧客からのハラスメントによる企業損失
厚生労働省は、顧客からのハラスメントによる企業損失を問題視しています。
カスタマーハラスメントの対応をすることで、他の顧客へのサービスが低下する可能性があるためです。その他にも、ストレスが原因で、離職率が増加したり、人材が集まらなかったりするリスクが考えられます。
このような企業損失は、事業を脅かす要因となります。安定した経営を行なっていくには、カスタマーハラスメントの対策が必要です。
厚生労働省が発表しているカスタマーハラスメント対策のポイント9選
厚生労働省が発表しているカスタマーハラスメントの対策方法は、以下の9点です。
- 定義や判断基準を明確にする
- 方針を社内外に周知する
- 相談窓口を設置する
- 相談を受けた際に適切な対応をする
- 事実確認をする
- 被害者へのフォローを行う
- 再発防止に取り組む
- 従業員への教育を行う
- 関係各所との連携を心掛ける
各ポイントについて、詳しく解説します。
1. 定義や判断基準を明確にする
カスタマーハラスメントの定義や判断基準を、社内で明確にしておきましょう。
カスタマーハラスメントは、正当なクレームとの明確な線引きが難しいためです。社内で定義や判断基準を決めておくことによって、現場での判断が行いやすくなります。
具体的な対策として、マニュアルの作成が挙げられます。加えて、どのような対応を取るべきなのかも併せて明記しておきましょう。
カスタマーハラスメントのマニュアルの作成方法や掲載すべき内容は、関連記事「【5分で分かる】カスタマーハラスメント対応マニュアルの作り方【内容から運用 のコツまで網羅】」にて解説しています。
2. 方針を社内外に周知する
カスタマーハラスメントに対して、自社の方針を社内外に周知しましょう。
社内に共有することで、従業員がどのような対応をすれば良いのか明確になります。定期的に研修・講座などを開催したり、マニュアルを作成・配布したりするのが好ましいです。
社外に周知するメリットは、カスタマーハラスメントの牽制に繋がることです。自社サイトのトップページに、悪質なクレームの対応について明記しておきましょう。
3. 相談窓口を設置する
カスタマーハラスメント対策として、相談窓口を設置しましょう。相談先があることで、対応した従業員が報告しやすい環境を作れるためです。
さらに、発生したカスタマーハラスメントに対して、社内での共有をスムーズに行えます。悪質なクレームの内容や対応を共有することで、再発防止に繋がります。
相談窓口の設置は、カスタマーハラスメントの対策として有効です。
カスタマーハラスメントの相談窓口については、関連記事「【保存版】企業が使えるカスタマーハラスメントの相談窓口3選【社内の対策も紹介】」にて解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
4. 相談を受けた際に適切な対応をする
相談窓口を設けるだけでなく、相談を受けた際にどう対応するのかも重要なポイントです。
そのため、カスタマーハラスメントの対応についての理解を深める対策を行います。具体的には、相談担当者を対象に、定期的に研修・講座などを開催するのが良いでしょう。
ノウハウを持った担当者が対応することで、企業としてカスタマーハラスメントに強い体質が出来ていきます。
5. 事実確認をする
カスタマーハラスメントが発生した際には、事実確認を行います。後日の対応で「言った・言わない」のトラブルに発展する可能性があるためです。
事実確認を行いやすいよう、対応した従業員がメモを取る、電話の会話を録音するなどの対応を取るよう徹底しましょう。
企業としてカスタマーハラスメントに毅然とした対応をするために、正確な事実を把握することは非常に重要です。
6. 被害者へのフォローを行う
カスタマーハラスメント対策をする際には、被害者のフォローを意識しましょう。
暴力・暴言を受けた従業員が、心に傷を負うケースがあるためです。被害者のフォローをおざなりにした結果、精神的なストレスがつのり、退職に繋がるケースも珍しくありません。
カスタマーハラスメントを受けた従業員には、管理監督者または産業保健スタッフなどによる、メンタルヘルスケアを行いましょう。
7. 再発防止に取り組む
カスタマーハラスメントが発生した際には、再発防止に取り組みます。同じようなトラブルが起きれば、従業員が危険にさらされたり、顧客へのサービスが低下したりするためです。
再発防止に取り組む際には、なぜカスタマーハラスメントが起こったのかを考えましょう。原因が分かれば、その後の対策が明確になります。
8. 従業員への教育を行う
カスタマーハラスメント対策のポイントは、従業員への教育を行うことです。悪質なクレームに対して、現場レベルで対応できるようにするためです。
従業員への教育を行うには、マニュアルを作成したり、研修を行ったりしましょう。また、定期的なロールプレイングの実施も有効的です。
適期的にカスタマーハラスメントへの対応方法を確認して、いざという時に慌てないようにしておきましょう。
9. 関係各所との連携を心掛ける
カスタマーハラスメントの対策として、関係各所との連携を心掛けましょう。悪質なクレームが発生した際に、迅速な対応ができるようにしておくためです。
自社だけでは、カスタマーハラスメントの問題解決が難しいケースがあります。そのため、ときには専門機関を利用するのがおすすめです。
具体的な相談先は、
- 弁護士
- 警察
- 保険会社
- 行政・市区町村の相談窓口
などが挙げられます。日頃から連携を深めておくと、カスタマーハラスメントに直面した際の相談がスムーズに行なえます。
カスタマーハラスメントで警察に頼れるケースについては、関連記事「【解決】カスタマーハラスメント被害で警察に頼れるのか?7つのケースと対処法を紹介」にて解説しています。
また、カスタマーハラスメントに対応した保険については「【2021年最新】カスタマーハラスメントに対応した保険7選!【メリット・デメリットを紹介】」にて詳しく解説していますので、併せて参考にしてみてください。
カスタマーハラスメントの問題を弁護士に相談するメリット3選
自社だけでのカスタマーハラスメントの問題を解決するのが難しいと感じた場合は、弁護士への相談をおすすめします。こちらでは、相談する3つのメリットを解説します。
- 円滑な解決が望める
- クレーム対応の代理が可能
- トラブルを未然に防止できる
順番にみていきましょう。
1. 円滑な解決が望める
弁護士に相談するメリットは、トラブルの円滑な解決が望めることです。法律の知識や過去の判例から、企業がどのように対応するべきなのかアドバイスしてくれます。
さらに、弁護士が間に入ることで、相手方との冷静な話し合いが可能です。弁護士の観点から適切な落としどころを作り、問題の円滑な解決が期待できます。
2. クレーム対応の代理が可能
弁護士は、企業の代理人としてクレーム対応を行います。つまり、カスタマーハラスメントを行った相手と直接対峙する必要がなくなるということです。
結果、業務に集中でき、売り上げの低下やモチベーション低下を避けられます。また、従業員がクレームの対応をしなくて良くなるため、精神的な負担を軽減できます。
3. トラブルを未然に防止できる
弁護士へ相談することで、カスタマーハラスメントのトラブルを未然に防止できます。
被害に遭った際の対応だけでなく、事前のクレーム対応の相談も行っているためです。カスタマーハラスメントの知識を持ち合わせた弁護士であれば、社内研修を開催できる場合があります。
カスタマーハラスメントの対応は「オンライン顧問弁護士」にお任せください
カスタマーハラスメントでお困りの際は「オンライン顧問弁護士」までご相談ください。カスタマーハラスメントに精通した弁護士が、企業のお悩みを解決へ導きます。
当サービスの強みは、以下の2点です。
- 全国どこからでも相談できる
- カスタマーハラスメントの研修を実施
順番に解説します。
1. 全国どこからでも相談できる
オンライン顧問弁護士の最大の特徴は、全国どこからでも相談できることです。パソコンやスマートフォンのテレビ電話機能を利用して、顧問弁護士業務のオンラインで実施します。
時間や場所を選ばず相談できるため、カスタマーハラスメントが発生した場合には、迅速な対応が可能です。
2. カスタマーハラスメントの研修を実施
オンライン顧問弁護士では、カスタマーハラスメントに精通した弁護士による研修を実施しています。オンラインで行うため、自社にいながら研修を受けられるのがメリットです。
カスタマーハラスメントの基本的な知識から、ロールプレイングまで実施します。研修の実施により、従業員の意識が高まったり、悪質なクレームにも対応できるスキルが身に付いたりします。
まとめ
カスタマーハラスメントに対する厚生労働省のマニュアル・ガイドラインは、2021年11月時点では出ていません。ただし、2022年3月末(令和3年度)までには企業向けのマニュアルが作成される予定です。
厚生労働省からの明確なマニュアル・ガイドラインが出ていないものの、カスタマーハラスメントの対策は今からでも行えます。以下9つのポイントを意識して、対策に取り組んでみてください。
- 定義や判断基準を明確にする
- 方針を社内外に周知する
- 相談窓口を設置する
- 相談を受けた際に適切な対応をする
- 事実確認をする
- 被害者へのフォローを行う
- 再発防止に取り組む
- 従業員への教育を行う
- 関係各所との連携を心掛ける
「オンライン顧問弁護士」は、 全国どこからでも相談できたり、従業員に向けにカスタマーハラスメント研修を開催できたりするメリットがあります。30分の無料相談体験も行っていますので、悪質なクレームでお悩みの際にはお気軽にお問い合わせください。