「顧問弁護士と一般的な弁護士の違いが分からない」
「どのような時に顧問弁護士が必要なのか」
「顧問弁護士の方が満足度が高いと聞いたが本当か」
会社が大きくなると共にトラブルも増えてきて、法律のプロに法務問題を解決してほしいと考えます。そんな時にスポットで弁護士に依頼した方が得なのか、顧問弁護士ならではのメリットは何なのかとお悩みではないでしょうか。
この記事では、顧問弁護士と弁護士の違いのほか、以下の内容を詳しくまとめました。
- 顧問弁護士と弁護士の違い
- 顧問弁護士に相談できる内容
- 顧問弁護士の必要性とは
- 顧問弁護士の方が満足度が高い
- 顧問弁護士を依頼するタイミングとは?
また、顧問弁護士の満足度が高いという結果内容も詳しく調べましたので、顧問弁護士に依頼する際の判断の参考にしてみてください。
顧問弁護士と一般的な弁護士との違い【継続性】
顧問弁護士と一般的な弁護士との大きな違いは、継続的であるかどうかです。
大前提として両者の仕事内容は変わりませんが、一般的な弁護士には問題が起きた時だけ依頼します。そのため、状況を理解するのに時間がかかり迅速な対応ができない可能性があるでしょう。
一方、継続的に契約している顧問弁護士であれば、社内の状況や社長の意向などを細かく把握しています。なので、問題が起きても思った通りの対応をスピーディに行えるほか、そもそも問題が起きないような予防措置もできます。
顧問弁護士と単発弁護士の違いを例えるなら、以下のようなイメージです。
- 顧問弁護士:かかりつけ医としてすぐに対応し、病気予防ができる
- 単発弁護士:大きな病院の外科医で、痛いところだけを外科手術する
現在の御社の体調や将来の不安等を考慮して、どちらに依頼するか選ぶと、満足のいく結果となるでしょう。
顧問弁護士の必要性とは
顧問弁護士というと大企業だけが抱えているイメージが強いですが、最近では中小企業や個人事業者でも依頼しているケースは増えています。
「中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書」によると、中小企業でも弁護士を利用したことがあるは51.8%と、半数位以上が弁護士に依頼している結果が出ました。
また、従業員数21〜50未満の企業でも27.7%、51〜100人未満の企業なら52.1%に顧問弁護士がいると回答しており、半数以上が弁護士と顧問契約を結んでいることも分かりました。
顧問弁護士の依頼が増えている背景として、個人情報保護など法的対処が必要な場面が増えている他、SNSの普及により小さなトラブルであってもすぐに拡散されてしまうことがあげられます。そのため、問題が発生したら即座に法的対処ができる顧問弁護士の必要性は、高まっていると言えます。
顧問弁護士のメリット・デメリット
顧問弁護士に依頼すると、長期間に渡って顧問料が発生します。本当に顧問弁護士が自社の問題解決してくれるのか、悩まれるのではないでしょうか。そこで、顧問弁護士に依頼する場合のメリット・デメリットについて、詳しく解説します。
1. メリット
顧問弁護士に依頼するメリットは以下の通りです。
- トラブルが起きた時いつでも対応可能
- 事前チェックにより問題予防ができる
- 自社の内情を理解しているため対応が早い
- 社長の意向に沿った提案をしてくれる
- 社内の隠れた問題を指摘してくれる
特に「かかりつけ医」として小さなトラブルを見過ごさず、予防措置が行えることが最大のメリットです。
他にも、 第三者として客観的な判断をしてくれるため、 社長や従業員では当たり前すぎて見過ごしてしまうような問題も掘り起こせます。顧問弁護士に指摘してもらうことで、大きな問題になることを未然に阻止できます。
また、顧問弁護士は一般的に複数の企業の法務を担当していて、現在の社会情勢や今後の展望などにも詳しいです。基本的な法務問題の他にも、 従業員や家族では相談できない会社の経営課題について相談に乗ってくれる場合もあります。
2. デメリット
顧問弁護士に依頼した場合デメリットは以下の通り。
- 毎月顧問料が発生
- 契約期間中は解約が難しい
もし相性が悪くて契約解除したいと思っても、解除要件に当てはまる必要があったり、また解除できても、残存期間の顧問料を支払うリスクもあります。
そのため、顧問契約を結ぶ前に、顧問弁護士として信頼できるかの事前チェックは必須です。
よろしければ、顧問弁護士と契約する前に「弁護士と雇問契約を結ぶ際の7つの注意点!報酬相場と締結までの流れを紹介」を参考にしてください。
スポットで弁護士に依頼するメリット・デメリット
顧問契約を締結して、日常的に相談している企業だけでなく、法的問題が起きたときにスポットで依頼するケースがあります。 ここでは、スポットで弁護士に依頼するメリット・デメリットについて紹介します。
1. メリット
スポットで弁護士に依頼するメリットは、以下の通りです。
- 必要な分だけのコストで済む
- 相談内容が少ないと安くなるのでお得
- 問題があれば気軽に弁護士を変えられる
通常は特に問題がなく、 小さなトラブルは社内で解決できるのであれば顧問弁護士をつけず、 社内で対応できない大きな問題のみ弁護士に依頼するのが合理的でしょう。
2. デメリット
スポットで弁護士に依頼する場合のデメリットは、以下の通りです。
- 相談料が都度必要
- 相談の都度、会社の内容を一から話す必要がある
- 金額は単発料金なので高め
- 社長の意向から外れた保守的な提案をする場合もある
- 単発の依頼のため、依頼以外の問題にはノータッチ
- 企業の隠れた問題は指摘してくれない
スポットで弁護士に依頼すると、基本的に大きな問題が発生した後の依頼となるため、どうしても対応が後手になります。さらに、あらかじめ問題の芽を小さく摘み取るといった予防措置も難しいでしょう。
企業内弁護士と顧問弁護士の違い
「企業内弁護士」とは、企業に雇用され、企業内の法務部などで法的対処する弁護士のことを言います。
企業内弁護士を雇用するメリットは以下の通りです。
- 自社社員のため、企業内部の深い問題も対応可能
- 他の企業業務がないため、専属で対応してくれる
逆に、企業内弁護士を雇用した場合のデメリットは以下の通り。
- 雇用契約であり高額(500〜1,000万円)
- 本人の能力によって差がある
- 雇用契約のため解雇が難しい
企業内弁護士は、大企業のように法的トラブルが日常茶飯事であり、法務部を設置して専門的に対処したい会社向けの体制です。そのため、中小企業で企業内弁護士を置くことはあまり聞かれません。
法的対処の量が少ない場合や中小企業なら、法務部を社内に設置せずに社外にアウトソーシングする方が合理的と言えます。
顧問弁護士に相談できる内容
弁護士に相談できる内容は以下の通りです。
- 契約書のリーガル(法的)チェック
- 債権保全
- 債権回収
- クレーム対策
- M&A、事業承継
- 知的財産の問題
- 人事労務問題
- 経営相談
- コンプライアンス問題など
また、顧問も含め弁護士に相談して、解決している比率が高い項目は以下の通りです。
- 契約書のリーガルチェック(52.1%)
- 債権保全(50.4%)
- 債権回収(42.6%)
- クレーム対策(39.5%)
- M&A(37.7%)
他にも、企業内の労使問題やカスタマーハラスメント対応など、法的問題はあらゆる場面で起こります。顧問弁護士であれば、あらゆる事態を想定して適切な法的対処や予防措置が可能です。
また、長年付き合って親しくなった顧問弁護士であれば、社内の法務以外の問題なども含めた、良き相談相手となるでしょう。
顧問弁護士の方が満足度が高い結果に
中小企業のためのひまわりホットダイヤルによると、 顧問弁護士とスポットで依頼した弁護士を比べた場合、顧問弁護士の方が満足が高い結果が出ています。
実際の調査では「困りごとを顧問弁護士に相談した場合の満足度」は72.2%〜95.7%と、ほぼ8割以上が顧問弁護士に満足しているという回答結果です。
また、「中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書」では、顧問がいる企業では、法的課題について84.2%が「弁護士に相談して解決」したという結果が出ています。調査報告書にも「この相談率・解決率は相当高いことが特徴的である」と記載されています。
法的課題の解決度 | 社内で解決 | 弁護士に相談して解決 |
相談できる弁護士がいない | 36.7% | 24.4% |
相談できる弁護士はいる | 25.0% | 59.8% |
顧問弁護士がいる | 20.6% | 84.2% |
他にも以下のグラフの通り、顧問弁護士とスポットで依頼した弁護士を比較した相談結果については「満足した」が24.0%でした。
このように様々な調査結果を見ても、問題が起きてからスポットで弁護士に依頼するより、あらかじめ顧問弁護士との契約をした方が、長期的には満足度が高まりやすいと言えます。
顧問契約を行うメリットについては「【これで安心】弁護士と顧問契約を行うメリット8選デメリット3選!探し方・選び方も解説」をご覧ください。
顧問弁護士の費用相場
弁護士の顧問料は事務所によって様々ですが、月数時間以内の法務相談や調査などであれば、月額3〜5万円が一般的な金額です。以前は弁護士法により、事業者への顧問料は月額5万円以上と定められていましたが、平成16年4月より顧問料の最低金額は廃止されています。
そのため顧問料に幅が出てきて、月額1万円といった低価格の顧問サービスも存在します。一方で、業務内容が狭かったり別途費用が多くかかったり、最終的に通常の顧問料より高くなるケースもあるので注意が必要です。
弁護士との顧問契約は、お互いの信頼関係に成り立つ長期的な契約です。金額だけで判断せず、業務内容や人格をしっかりと見極めてから契約しましょう。
顧問弁護士との契約を検討すべきタイミング
顧問弁護士との契約は、以下のような状況になったタイミングでの検討がおすすめです。
- 契約書を見直したい時
- 契約が増えてトラブルになりそうだと感じた時
- 企業が拡大し社長の目が届かなくなった時
- 法務部を作りたいが人員が割けない時
- 新規事業をはじめる時
- 大企業や海外企業と取引する時
- 労務問題が大きくなってきた時
大きなトラブルが起こってから依頼しようと思っても、いざ問題が発生すると、信頼できる弁護士はすぐには見つからずに対処が遅れてしまう場合があります。
小さなトラブルが頻発していたり、従業員間で問題が発生したりすると、顧問弁護士を検討するタイミングのサインです。 また、業務拡大を狙うのであれば早めに顧問弁護士を検討して、足場を固めましょう。
顧問弁護士は、御社と二人三脚で会社の成長を支える存在です。何か気になることがあれば早めに顧問弁護士に相談し、適切な予防措置をとっていけば、安心して会社経営が行えます。
顧問弁護士をお探しなら「オンライン顧問弁護士」をご検討ください
昔は 体に異変が起きてから病院へ行き薬をもらうことが当たり前でしたが、 今では定期的に 健康診断を行い、病気になりにくい健康な体作りを目指すことが常識となっています。
このように、問題が起きてから場当たり的に対処するより、 顧問弁護士と共にあらかじめ強い法体制の会社にすることで、 健康的で安全な会社運営を目指せます。
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