「カスタマーハラスメントの公的な相談窓口が知りたい」
「企業が使える相談窓口が知りたい」
「カスタマーハラスメントの個別事例について相談したい」
日々上がってくる深刻なカスタマーハラスメント相談について、こんな対処で良いのかなと1人で悩んでいませんか。この記事では、カスタマーハラスメントの相談窓口の設置方法から、社外に相談できる機関を見つけることができます。
この記事では、
- 社内のカスタマーハラスメント相談窓口の設置方法
- カスタマーハラスメントの相談ができる社外の窓口
- 個別対応してくれる相談窓口
についてご紹介します。
カスタマーハラスメント対応は難しく、個人の判断ミスにより炎上したり従業員に被害が出たりする場合もあり、企業のイメージ減にも繋がります。従業員がカスタマーハラスメントの被害で深刻な状態になる前に、ぜひ最後までお読みください。
社内にカスタマーハラスメントの相談窓口を設置するのがおすすめ
カスタマーハラスメント対策を行うなら、まずは社内に相談窓口を設置しましょうなぜなら、企業にはカスタマーハラスメントから社員を守る安全配慮義務があるからです。
厚生労働省が発表した「令和2年度委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査結果について」では、カスタマーハラスメントの実際の取り組みは「特にない」が57.3%と最も高く、「相談体制の実施」も27.5%と低いのが実情です。
しかし社内に相談窓口があれば、カスタマーハラスメントに対して従業員だけが抱え込まずに済み、また窓口を一本化することでカスタマーハラスメント事例が蓄積し、ノウハウの形成にも期待できます。
社内の相談窓口を設置するには、産業医や精神科医等の専門医との連携や、人事労務管理スタッフとの連携なども必要です。まずは衛生管理者、産業医、保健師などのプロと相談し、どのような相談窓口にするか話し合いを行いましょう。
また、相談対応するためには、スタッフの専門知識や傾聴スキルが必須です。相談窓口スタッフは、相手の置かれた状況を想像し、相手に寄り添う姿勢を徹底しましょう。
さらに、以下の内容を社内に周知することで、窓口相談を促します。
- 対応する相談内容
- 相談対応を行う者の紹介
- 相談受付後の一般的な対応の流れ、解決プロセス
- 個人情報の扱い
- 相談することによる不利益はないこと
社内窓口に相談したら昇進に影響するかも、と考える従業員も少なくありません。相談することで個人に不利益は生じないことを明言し、カスタマーハラスメントは会社全体で取り組んでいるという姿勢を伝えることが重要です。
また、カスタマーハラスメント対策には、他にも対策マニュアルや研修なども必要です。詳しくは「【5分で分かる】カスタマーハラスメント対応マニュアルの作り方【内容から運用のコツまで網羅】」をご覧ください。
社外のカスタマーハラスメント相談窓口3選
社内でカスタマーハラスメントに対応しきれない場合は、社外の相談窓口を利用するのがおすすめです。しかし残念ながら、カスタマーハラスメントの個別問題に対して、企業側が相談できる窓口は多くありません。カスタマーハラスメントの相談ができる機関は以下の3種類です。
- こころの耳:厚生労働省
- 警察
- 弁護士
カスタマーハラスメント対策については厚生労働省の方でもマニュアルを作成中ですが、企業側が相談できる公的機関はほぼ存在しないのが実情です。以下では、企業側の立場でカスタマーハラスメント相談ができる3種類について詳しくご紹介します。
1. こころの耳:厚生労働省
「こころの耳」は、ホームページで社内での相談窓口設置について詳しく紹介されており、人事労務担当者でも相談可能です。
相談方法には、以下の3つがあります。
- 電話
- SNS
- メール
メール相談は24時間受付なので、日中お時間が取れない方でも利用しやすいでしょう。カスタマーハラスメント以外のハラスメントや、仕事に関する相談まで対応可能です。
また「産業保健総合支援センター(さんぽセンター)」では、相談窓口設置について必要となるメンタルヘルス対策に関する相談、研修、情報提供等の支援を無料で行っていますので、こちらも参考にされてください。
2. 警察
カスタマーハラスメントの内容が不法行為を含む悪質なものであれば、警察への連絡が必要でしょう。緊急を要する場合は110番ですが、そこまで緊急でない場合や相談したい場合には「#9110」で、近くの警察に相談が可能です。
不法行為であるカスタマーハラスメントの例は以下のような内容です。
- 大きな声で暴言を吐く
- 従業員に危害を加えようとする
- 土下座や謝罪文などの不当な要求
- 居座りなど、営業に多大な影響を与える行為
顧客が上記のような行為を行っており、大きな影響があると判断した場合はすぐに警察へと連絡しましょう。ただし、スタマーハラスメント行為が発生してからでないと警察へは連絡できませんし、刑事事件ではないと判断された場合、警察は対応できません。
不法行為であるカスタマーハラスメントであっても、警察が解決できない事も多く、最終的には当事者同士での話し合いが必要となります。
3. 弁護士
カスタマーハラスメントに対する個別相談であれば、弁護士へ相談するのが適切です。なぜなら、警察が対応できないような民事事件であっても、個別具体的な法的対処が可能だからです。
弁護士に相談すると、まずは双方から事実確認を行ない、話し合いの場を持つ事もできます。さらに顧客側に不当な行為があれば、内容証明郵便などの穏便な方法から、悪質な場合には訴訟も行えるでしょう。
他にも対策マニュアルの作成や実際の研修など、抜本的なカスタマーハラスメント対策についても相談できますが、弁護士といっても得意分野は様々あるため、カスタマーハラスメントに詳しい弁護士に相談するのが最も重要です。
カスタマーハラスメント相談を弁護士にするメリット
企業が弁護士にカスタマーハラスメント相談する大きなメリットは、以下の3点です。
- 民事・刑事両方での法的対処が可能
- 問題が大きくなる前に対処が可能
- マニュアル策定や研修にも対応
カスタマーハラスメントは誤った対応を行うと大きなトラブルとなり、従業員の心身に問題が出てしまいます。さらにカスタマーハラスメントは、話が大きくなるとSNSやニュースなどで拡散されてしまうため、企業イメージのダウンするなど被害が大きくなってしまいます。
カスタマーハラスメントに対しては初期対応や法的対処が重要です。企業や従業員の法的権利を適切に主張したり、法律知識を土台にしたマニュアルや研修を作成することで、企業を不当なカスタマーハラスメントから守る事も可能です。
弊社「オンライン顧問弁護士」では、カスタマーハラスメントに詳しい弁護士が対応していますので、御社の個別事例に対して具体的な解決方法の提示が可能です。また、Zoomなどのオンラインで全国どこでも相談できますので、事務所まで足を運んでいただく必要はありません。
現在は30分無料相談を行なっておりますので、カスタマーハラスメント被害でお悩みでしたら、まずはお気軽にご連絡ください。
カスタマーハラスメントは不法行為とみなされるのか?
カスタマーハラスメントの多くは不法行為となり、法的対処や刑法での罰則も可能です。
実際のカスタマーハラスメント事例はケースバイケースであり、全てを刑法で対処できる訳ではありませんが、カスタマーハラスメント被害の認知度は上がっており、営業妨害の差し留め請求が認められた事例などもあります。
また、職場での暴力やハラスメントを全面的に禁止する国際条約が、2019年6月20日に国際労働機関(ILO)において採択されています。世界的なハラスメント禁止の流れには、カスタマーハラスメントももちろん含まれています。
ここでは厚生労働省の見解や、不法行為であるカスタマーハラスメントについて実例をまじえてご紹介します。
1. カスタマーハラスメントに関する厚生労働省の見解
カスタマーハラスメントの一般的な定義は、以下の通りです。
- 優越的な関係を背景とした顧客により、
- 業務上又は社会通念上相当の範囲を超えて行われ、
- 担当者の就業環境や業務推進を阻害し、又は担当者の尊厳を傷つける行為
カスタマーハラスメントに対する厚生労働省のガイドラインや定義は2021年11月時点では存在しません。
しかし、厚生労働省は「顧客等からの著しい迷惑行為の防止対策の推進に係る関係省庁連携会議」において、企業向けのカスタマーハラスメント対策についてのマニュアルを、2022年3月末までに作成すると発表しています。そのため、今後はカスタマーハラスメントに対して、明確な指針が出ることが期待されています。
また、2020年12月に国会フォーラムで開催された「カスタマーハラスメント実態調査緊急報告集会」が行われた結果、国会の中でも悪質クレームについて話し合いを進めていくこととなっています。
厚生労働省の取り組みについては、こちらの記事「【解決策】カスタマーハラスメントに厚生労働省のガイドラインはあるのか?企業での作成法を紹介」をご覧ください。
2. カスタマーハラスメントが不法行為となる事例
カスタマーハラスメントが不法行為となる行為には以下の5種類あり、このような悪質な行為については刑事事件として起訴も可能です。
- 脅迫罪:従業員を脅して恐怖を与える
- 強要罪:従業員を脅して不当に金品を要求する
- 恐喝罪:過剰な土下座や謝罪文などを強要する
- 威力業務妨害罪:店内で騒いだり迷惑をかける
- 不退去罪:不当に長時間店内に居座る
実際に、カスタマーハラスメントの被害を受けた飲食店が顧客を訴え、刑事事件として被告2人にそれぞれ3年と1年10か月の懲役刑が下されています。詳しくはこちらの記事「法律違反に該当するカスタマーハラスメント5つの特徴!判例と確認すべきポイントを紹介」をご覧ください。
また、刑事事件ではなく民事事件として以下の請求を行うこともできます。
- 仮処分の申し立て:問題行動の禁止命令
- 損害賠償請求:理不尽なクレームによる被害の賠償
- 債務不存在確認請求:企業が相手方に対応する義務がないことの確認
まとめ
カスタマーハラスメント対策は、まずは社内で相談窓口を設置するとともに、カスタマーハラスメント対策マニュアルや実際の研修などを行い、社内がカスタマーハラスメントに対して毅然とした態度を取ることが重要です。
厚生労働省が発表した「令和2年度委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査結果について」でも、カスタマーハラスメント被害を受けた従業員は「仕事に対する意欲が減退した」(46.2%)となっており、このまま放置すると、離職率の増加や企業イメージ減にも繋がりかねません。
カスタマーハラスメントは、通常のクレーム対応では扱えません。カスタマーハラスメントに対しては毅然とした法的対応を行うと社内に徹底させ、従業員が法的知識で武装することで、不当な請求や暴力から会社を守れるのです。
弊社「オンライン顧問弁護士」では、実際のカスタマーハラスメント相談の他にも、マニュアル作成、具体的事例を元にした研修というような、具体的な対処法も行なっております。最初の30分は無料ですので、もし今カスタマーハラスメント被害で困っているのなら、ぜひお気軽にご連絡ください。