
目次
なぜベンチャー・スタートアップに顧問弁護士が必要なのか?
【フェーズ別】顧問弁護士の活用法と依頼すべき業務
失敗しない!ベンチャーに強い顧問弁護士の選び方と5つの基準
ベンチャー・スタートアップ向け顧問弁護士の費用相場と契約プランの目安
顧問弁護士を見つけるための探し方と面談時の質問集
まとめ|ベンチャーにおける顧問弁護士は「コスト」ではなく「投資」である
「リリース直前なのに、利用規約の穴が怖くて眠れない」 「今の顧問弁護士はIT用語が通じず、ビジネスモデルの説明だけで1時間終わる」 「トラブル発生。今すぐ相談したいのに、土日は連絡がつかない」
日々、市場を切り拓くベンチャー・スタートアップの経営者にとって、法務は頭痛の種です。 攻めたいのに、守りが追いつかない。あるいは、既存の弁護士が事業のブレーキになっている。そんなジレンマを抱えていませんか?
結論、ベンチャー企業における顧問弁護士の役割は、単なる「リスク回避の守り神」ではありません。 新しいビジネスモデルを適法に実現し、ベンチャーキャピタルからの資金調達やIPO(上場)へと導く「攻めのための最強のパートナー(参謀)」であるべきです。
この記事では、ベンチャー企業・スタートアップ企業が顧問弁護士と契約すべきタイミングや費用・相場、そして、「事業を加速させる弁護士」を見極める選定基準を徹底解説します。
企業法務という武器を手に入れ、あなたの事業を次のステージへ押し上げてください。
なぜベンチャー・スタートアップに顧問弁護士が必要なのか?

「まだ設立直後だし、トラブルが起きてからスポットで依頼すればいいのでは?」 資金に余裕のないシード・アーリー期の個人事業主やスタートアップ 経営者なら、そう考えるのも無理はありません。
しかし、ベンチャー企業こそ、早期に顧問弁護士をつけるべき明確な理由があります。それは、たった一度の法的な躓きが、そのまま「事業の死(倒産・撤退)」に直結するからです。 社内に法務部を持たない中小企業やスタートアップにとって、予防法務の体制構築は急務です。
なぜ今、貴社に「法務のパートナー」が必要なのか。3つのメリットを直視してください。
契約書・利用規約の不備は「死活問題」になる
ベンチャーの多くは、前例のない新しいサービスやビジネスモデルを展開することも少なくありません。ネットに落ちている「ひな形」の契約書や利用規約のコピペでは、あなたの会社独自のリスクをカバーできません。
・サービスリリース直後の炎上: ユーザーの権利侵害や違法性の指摘を受け、サービス停止・撤退に追い込まれる。
・不利な契約条件: 大手企業との提携で、虎の子の知的財産(知的財産権)をすべて吸い上げられる契約を締結してしまう。
これらは実際に多くのスタートアップが直面し、消えていった失敗事例です。自社のビジネスモデルを深く理解した弁護士による、オーダーメイドの契約書整備こそが、企業の生存率を分ける生命線となります。
投資家(VC)からの信用獲得とIPO準備
資金調達(エクイティ)の際、ベンチャーキャピタル(VC)などの投資家は、事業の成長性と同じくらい「法務リスク」(コンプライアンス)を厳しくチェックします。「契約書が整備されていない」「労務管理がズサンだ(残業代未払いなど)」と判断されれば、どんなに優れたプロダクトでも投資は見送られます。
また、将来的なIPO(新規株式公開)を目指すなら、さらに厳格なコンプライアンス体制が求められます。上場審査の直前になって「未払い残業代」や「規約の不備」が発生し、上場が数年遅れるケースは後を絶ちません。創業初期から顧問弁護士と二人三脚で「クリーンな組織」を作っておくことが、最短でのイグジットへの近道です。
経営判断のスピードアップ(即レスの価値)
ベンチャー経営は、毎日が「決断」の連続です。「この新機能は適法か?」「この従業員 トラブルの初動はどうすべきか?」
そんな疑問が湧いた時、自分でネット検索をして数時間を浪費していませんか?あるいは、法律事務所に電話してスポットで受けてくれる弁護士を探すのに数日かけていませんか? チャットツールなどで即レスしてくれる顧問弁護士がいれば、その悩みは数分で解決します。
経営者が法務リサーチという「迷い」から解放され、事業開発という「本業」に100%集中できる環境を作ること。これこそが、顧問弁護士を雇う最大の費用対効果(ROI)です。
【フェーズ別】顧問弁護士の活用法と依頼すべき業務

「顧問弁護士はベンチャーにとって必要なのはわかったが、具体的に何を頼めばいいのか?」
ベンチャー企業が直面する法的課題は、会社の成長フェーズによって大きく異なります。
成長段階ごとに「使い倒すべき業務」を整理しました。自社の現在地と照らし合わせてください。
シード・アーリー期(創業〜売上拡大)|ビジネスモデルの構築
この時期の最優先事項は、プロダクトを世に出し、売上を作ることです。したがって、法務も「事業を実現するための支援」が中心となります。
<メイン業務>
・創業株主間契約: 創業者同士の紛争(内紛)を防ぐための契約書 作成。
・利用規約・プライバシーポリシー作成: サービス開始に必須の法的文書の整備。
・ビジネスモデルの適法性チェック: 「このサービスは業法に触れないか?」の適法性確認。
<ポイント>
リスクを指摘して止めるだけでなく、「どうすれば適法に実現できるか」というスキーム(代案)を出してくれる弁護士を選ぶことが絶対条件です。
ミドル・レイター期(組織拡大〜上場準備)|組織リスクの排除
従業員が増え、組織が急拡大する時期には、「労務問題」や「知的財産権」の管理が重要課題となります。IPOを見据えたコンプライアンス 体制の構築も必須です。
<メイン業務>
・労務トラブル対応: 未払い残業代、ハラスメント、解雇問題などの解決。
・ストックオプション設計: 優秀な人材を確保するためのインセンティブ設計。
・知財管理・M&A: 特許出願や、他社の買収・事業譲渡の支援。株主総会や取締役会の運営指導。
<ポイント>
突発的な事件に即座に対応できる「機動力」と、IPO審査に耐えうる「厳格さ」を兼ね備えた弁護士が必要になります。
失敗しない!ベンチャーに強い顧問弁護士の選び方と5つの基準

弁護士なら誰でもいいわけではありません。特にベンチャー企業の場合、伝統的な「先生」タイプの弁護士とは相性が悪く、契約後に後悔するケースが後を絶ちません。大阪弁護士会や東京の弁護士法人など、所属に関わらず個人の資質が問われます。
あなたの事業を加速させるパートナーを見つけるために、以下の5つの選び方・基準で選定してください。
1. IT・Web業界への理解度とリテラシー
これが最も重要な基準です。「SaaS」「KPI」「ブロックチェーン」「API連携」などこうした用語を説明するのに時間を使っていませんか?
ビジネスモデルを図解して一から説明しなければ理解してもらえない弁護士では、スピード感が損なわれます。業界の専門用語やビジネス構造を理解している(共通言語がある)かどうかは、最初の面談で必ず確認してください。
2. コミュニケーション手段(Slack/Chatwork/Zoom対応)
「法律相談は電話かFAX、メールのみ」という事務所は、ベンチャーのスピード感に合いません。社内で使っているSlack、Chatwork、Teamsなどのチャットツールに招待し、メンション一つで気軽に相談できる環境を作ってくれるかが重要です。また、Zoomなどのオンライン会議ツールで、移動時間なく打ち合わせができるかも必須条件です。
3. レスポンスの速さと柔軟性
「回答は3営業日後」では、ビジネスチャンスを逃してしまいます。原則として24時間以内、簡単な質問なら即レス(数時間以内)で返してくれるスピード感が求められます。
また、ベンチャーにトラブルはつきものです。土日や深夜に緊急事態が発生した際、携帯電話やメッセンジャーで連絡が取れる「柔軟性」があるかどうかも、有事の際の安心感につながります。
4. 「代案」を出してくれるか(リスク指摘だけではない)
「それは法律上リスクがあるのでやめた方がいいです」。 こう言って止めるだけの弁護士は、ベンチャーには不要です。それは評論家の仕事です。
「このスキームだと業法に触れる可能性がありますが、ここをこう変更すれば適法に実施できます」このように、ビジネスゴールを共有し、実現するための「代案(戦略)」を提示してくれる弁護士こそが、真のパートナーです。
5. 費用対効果(コストパフォーマンス)
月額顧問料の中に、どの程度の業務が含まれているかを明確にしましょう。
・契約書チェックの通数: 「月3通まで無料」なのか「無制限」なのか。
・タイムチャージ: 稼働時間に応じた追加請求が発生する場合、その単価はいくらか。
・プラン変更の柔軟性: 会社の成長に合わせて、プランをアップグレード・ダウングレードできるか。
「安かろう悪かろう」では意味がありませんが、自社のフェーズと利用頻度に合った適正なプランを選ぶことが大切です。
ベンチャー・スタートアップ向け顧問弁護士の費用相場と契約プランの目安

「弁護士は高い」というイメージがあるかもしれませんが、最近ではスタートアップ 顧問弁護士向けのリーズナブルなプランを提供する法律事務所も増えています。 一般的な相場とプランの目安を紹介します。
月額3万円〜5万円(ライトプラン)
創業期やシード期のスタートアップに最適なプランです。
・内容: チャットでの日常的な法律相談、月1〜2通程度の契約書リーガルチェック。
・対象: 「まずは気軽に相談できる相手が欲しい」「大きなトラブルはないが、契約書だけは見てもらいたい」という企業や個人事業主。
月額10万円〜(スタンダードプラン)
組織が拡大し、取引先が増えてきたアーリー〜ミドル期の企業向けです。
・内容: 契約書チェック無制限(または月5〜10通)、優先的な対応、月1回の定例ミーティングなど。
・対象: 「法務機能をアウトソースしたい」「IPO 準備に入りたい」という企業。
タイムチャージ制(時間課金)との比較
顧問料(定額)ではなく、稼働した時間分だけ請求される「タイムチャージ制」もあります。相場は1時間あたり2万円〜5万円程度です。
・メリット: 相談がない月は費用がかからない。
・デメリット: 「ちょっとした質問」がしづらくなる。料金が予測できない。
ベンチャー企業の場合、些細なことでも気軽に相談できる「定額制(サブスク型)」の方が、コミュニケーションコストが下がり、結果的にリスクを低減できるケースが多いです。
顧問弁護士を見つけるための探し方と面談時の質問集

最後に、実際にどうやって顧問弁護士を見つけるか、そのアクションプランをお伝えします。
紹介・エージェント・マッチングサイトの活用
リファラル(紹介): 知り合いのベンチャー 経営者に「いい弁護士いない?」と聞くのが最も確実です。ただし、相性があるため、紹介されたからといって即決せず、必ず面談を行ってください。
・弁護士紹介エージェント: 企業の課題に合わせて最適な専門家を案内してくれるサービスもあります。
・Web検索: 「顧問弁護士 ベンチャー」「IT 強い 弁護士」などで検索し、実績やブログの発信内容(専門性)を確認します。
面談で必ず聞くべき「キラークエスチョン」
面談の際、以下の質問を投げかけてみてください。回答の内容や反応速度で、ベンチャーへの理解度が分かります。
1. 「御社では普段、どのチャットツールを使っていますか?」
→即答できればOK。「導入していません」ならコミュニケーションコストが高くなります。
2.「土日や深夜に緊急事態が起きた場合、連絡はつきますか?」
→「原則は営業時間内ですが、緊急時は携帯にどうぞ」と言ってくれる柔軟性があるか。
3.「過去に支援したベンチャー企業の成功事例(または失敗事例)を教えてください」
→ 具体的なエピソードが出てくるか。ビジネスモデルへの理解度を測ります。
まとめ|ベンチャーにおける顧問弁護士は「コスト」ではなく「投資」である

変化の激しいベンチャー 経営において、法務は「守り」の要であると同時に、「攻め」の基盤でもあります。
顧問弁護士を「コスト(経費)」として捉えているうちは、最低限の契約しかできず、その真価を引き出せません。優秀な弁護士を「事業を加速させるための投資」と捉え、経営参謀として迎え入れることができれば、あなたの会社は法的リスクを恐れずにアクセルを踏み込めます。
【あなたの会社が今すぐ取るべきアクション】
1.自社のフェーズ確認: 今必要なのは「契約書チェック」か「労務 対応」か、課題を整理する。
2.候補の選定: 知人の紹介やWeb検索で、3社程度の候補を見つける。
3.相性確認(面談): 実際にチャットツールの使用可否やレスポンスの速さを確認し、「この人なら背中を預けられる」と思えるパートナーを選ぶ。
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