「理不尽なクレーマーへの対応に悩んでいる…」
「クレーマーを訴える方法はあるの?」
「悪質なクレーマーの対策方法を知りたい」
このようなお悩みを抱えていませんか?
近年では、悪質なクレーマーによる迷惑行為が問題となっています。不当な要求をされたり、理不尽な言いがかりを付けられたりして、事業活動に支障をきたす企業も少なくありません。
悪質なクレーマーを何とかしたいと思い、法的措置を考えている方がいるのではないでしょうか。しかし、どのような手続きが必要なのか、なかなかイメージが沸きませんよね。
そこでこの記事では、理不尽なクレーマーに悩んでいる方に向けて
- 訴訟を起こす方法
- 注意点
などを解説します。企業が取るべき対策についても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
クレーマーを訴える方法は?民事と刑事に分けて解説
悪質なクレーマーを訴える方法は、主に以下の2つに分けられます。
- 民事
- 刑事
それぞれの法的措置によって対応が異なるため、訴訟を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
1. 民事の場合
そもそも民事とは、人と人、会社と人などの間の紛争を解決することです。訴訟する側である原告が訴状を裁判所に提出することで、民事訴訟が始まります。
企業は迷惑行為を行う顧客に対して、主に以下2つの訴訟を起こせます。
- 損害賠償訴訟
- 債務不存在確認訴訟
損害賠償訴訟は、相手方の理不尽なクレーム・要求が企業・法人に実害を及ぼしている場合に、損害賠償の請求を申し出ることです。この訴訟を通すためには、損害を受けたことを証明しなければなりません。例えば、相手方がどのような言動を取り、企業にどんな影響を及ぼしたのか証拠を集める必要があります。
債務不存在確認訴訟は「企業が相手方に対応する義務がないこと」を裁判所に認めてもらう手続きです。相手方は、何をしても自分の要求が通らないことを理解するため、悪質な言動や過剰な要求は止まります。顧客から理不尽な要求を受けていることを主張できれば、訴訟が認められるケースが多いでしょう。
2. 刑事の場合
刑事とは、起訴された被告人が犯罪行為を行ったのかどうか、刑罰を科すべきかどうかなどを判断することです。
顧客が従業員や起業に対して、脅迫や恐喝などの罪を犯した場合は、刑事告訴を行えます。刑事告訴とは、警察へ迷惑行為を働いた顧客の処罰を求めることです。
以下の行動は、犯罪行為に該当する場合があります。
- 脅迫・脅し
- 過剰な金品の要求
- 理不尽な行動を強要する
- 業務を妨害する
- 居座り行為
罪に該当する行為は、従業員が危険にさらされることも珍しくありません。顧客による行動でも、犯罪性があれば警察へ通報するなどの法的措置を取りましょう。
顧客の要求・言動が犯罪行為なのか見極めるのが難しいと感じる方は、関連記事「法律違反に該当するカスタマーハラスメント5つの特徴!判例と確認すべきポイントを紹介」を参考にしてみてください。
クレーマーを訴える目的は【不当な要求を封じること】
迷惑行為を働く顧客を訴訟する目的は、不当な要求を封じることです。損害賠償を請求することでも、刑事罰による制裁を与えることでもありません。
目的を間違ってしまうと、問題が解決にいたらない可能性があります。例えば、相手方に損害賠償請求訴訟を行った場合、損害を受けたことを証明できずに敗訴に繋がるケースが考えられます。このような結果におちいれば、問題解決はさらに困難になるでしょう。
民事訴訟や刑事訴訟は、あくまでも相手方の不当な要求を封じる手段です。顧客を訴訟する前に、法的措置を取ることが問題解決に繋がるのかどうかを考えましょう。
クレーマーを訴える前に知っておきたい3つの注意点
顧客の迷惑行為に対して、法的措置を取る前に知っておきたい注意点があります。主に、以下の3点です。
- 企業側に労力がかかる
- 相手方との関係修復が難しくなる
- 証拠の提出が求められる
各注意点について、順番に解説します。
1. 企業側に労力がかかる
法的措置を取る際には、企業側に労力がかかります。
例えば、民事訴訟を行う場合は、裁判所に出向いたり、書類を作成したりしなければなりません。さらに、裁判所手数料や訴状を郵送するための切手代などの費用も必要です。
このように、訴訟を起こす際には、企業側に手間と費用がかかります。そのため、相手方の言動が法的措置を取るべきものなのか、一度考えてみてください。
2. 相手方との関係修復が難しくなる
一度訴訟になれば、相手方と和解して関係を修復するのは難しくなります。法律的な争いにまで発展した相手とは、また取引したいと思わないでしょう。
訴訟を起こす際には、取引先などの関係者へ与える影響も考慮しなければなりません。例えば、相手方に取引先との関係を取り持ってもらっている場合は、法的措置を取ることで自社に経営的障害が発生する危険があります。
相手方との関係を壊したくない場合は、話し合いなどで解決できないか考えましょう。
3. 証拠の提出が求められる
相手方に法的措置を取る場合は、裁判所や警察に証拠の提出が求められます。自社や相手方の言い分ではなく、客観的な事実確認が必要になるためです。
例えば、刑事告訴に問う場合は、犯罪行為を裏付ける証拠が必要です。相手方の罪が証明できなければ、刑事罰を与えるのは難しいでしょう。
訴訟を起こす前に、顧客の迷惑行為や理不尽な要求が残っているかを確認します。防犯カメラの映像や通話の記録などを確かめ、自社が被害に遭っていることを客観的に証明しましょう。
【社内体制】企業が取るべきクレーマー対策5選
迷惑行為を働く顧客を訴訟したとしても、根本的な解決にはいたりません。同じようなトラブルが再度発生する可能性があるためです。再発防止のため、企業はクレーマー対策を行う必要があります。
企業が取るべき対策は、主に以下の5つです。
- 定義や判断基準を明確にする
- クレーマー対応のマニュアルを作成する
- 従業員向けの研修を行う
- 社内に相談窓口を設置する
- クレーマーへの方針を社外に周知する
順番に解説します。
さらに詳しい内容は「【保存版】カスタマーハラスメント対策への7ステップ【法的知識が重要】」にて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 定義や判断基準を明確にする
悪質なクレーマーの定義や判断基準を社内で明確にしましょう。顧客の言動が、理不尽な要求なのか、丁寧に対応すべき苦情なのかを見極めるのは難しいためです。
社内で悪質なクレーマーの定義を決めることで、現場レベルでの判断が行いやすくなります。自社の判断基準を決定したら、社内報などで周知しましょう。
2. クレーマー対応のマニュアルを作成する
悪質なクレーマーへの対策をするには、専用のマニュアルを作成しましょう。
マニュアルがあることで、顧客への対応方法が明確になります。理不尽な要求をされた場合でも、相手方に対して上手く切り返せます。
従業員も安心してクレーム対応に当たれるので、いつでも閲覧できるよう作成しておきましょう。
カスタマーハラスメントのマニュアルの作成方法や掲載すべき内容は、関連記事「【5分で分かる】カスタマーハラスメント対応マニュアルの作り方【内容から運用 のコツまで網羅】」にて解説しています。
3. 従業員向けの研修を行う
悪質なクレーマー対策方法として、社内研修の実施が挙げられます。社内全体にクレーム対応の手順を周知しましょう。
研修を実施する際は、座学だけではなく、ロールプレイングを行うのがおすすめです。実際のクレーム対応を想定することで、従業員が不当な要求や迷惑行為に対して、自信を持って切り返せるようになります。
1回だけではなかなか身につかないので、定期的に研修を実施するようにしましょう。
4. 社内に相談窓口を設置する
悪質なクレーマーへの対策方法として、相談窓口を作る方法があります。
利点は、迷惑行為や理不尽な言動があったことを、社内に素早く伝えられることです。悪質なクレームの内容や対応方法を共有することで、再発防止の効果も期待できるでしょう。
専用の窓口があることで、従業員は安心して顧客対応ができます。
カスタマーハラスメントの相談窓口については、関連記事「【保存版】企業が使えるカスタマーハラスメントの相談窓口3選【社内の対策も紹介】」にて解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
5. クレーマーへの方針を社外に周知する
顧客による迷惑行為や理不尽な言動に対して、どのように対応するのかを社外に通知しましょう。社外に周知することによって、悪質なクレーマーへの牽制に繋がります。
対応方針の一例は、以下の通りです。
- 脅迫、恐喝などの犯罪行為は、速やかに警察へ通報する
- 電話応対では録音を行なっている
方針が決まれば、自社サイトのトップページに掲載しましょう。
【顧客対応】企業が取るべきクレーマー対策3選
社内体制を整えると同様に、現場でのクレーム対応が重要です。こちらでは、顧客との対応における3つの注意点を解説します。
- 事実関係の確認を行う
- 相手方に諦めてもらうことをゴールにする
- 弁護士と相談しながらクレーマーに対応する
各ポイントについて、詳しく解説します。
1. 事実関係の確認を行う
相手方の主張ではなく、客観的に事実確認を行いましょう。相手方は、自分が有利になるように主張するケースがあるためです。
事実確認をするなら、防犯カメラを確認したり、複数の従業員に事情を聞いたりしましょう。客観的な事実を明確にして、法律上の責任が自社や相手方にあるのかを確かめます。
自社内での判断が難しい場合は、弁護士へ相談を検討してみてください。
2. 相手方に諦めてもらうことをゴールにする
相手方に納得してもらのではなく、諦めてもらうことをゴールにすることを意識しましょう。
例えば、顧客が過剰な要求をしている場合は、法律上その要求が通らないことを説明します。相手方の機嫌は損なわれますが、自社が対応しないことを根拠と併せて粘り強く伝えます。
結果、自分の要求が通らないと分かった顧客は「これ以上何をしても無駄だ」と感じ、不当な要求を取り下げるでしょう。クレーマーを納得させることは難しいので、相手方に諦めてもらうことをゴールにしてみてください。
3. 弁護士と相談しながらクレーマーに対応する
自社だけでの対応が難しいと感じた場合は、弁護士に相談することをおすすめします。特に、理不尽なクレームなのか、丁寧に対応すべき顧客の苦情なのかを判断するのは困難です。
弁護士に相談することで、対応すべきクレームなのか、法律上の責任が自社や相手方に発生するのかなどの助言をしてくれます。解決が難しいクレーム対応は、積極的に専門家を活用するようにしましょう。
悪質なクレーマーの問題を弁護士に相談する3つのメリット
顧客による理不尽な要求や迷惑行為で悩んでいる方は、弁護士への相談を検討してみてください。こちらでは、相談する3つのメリットを解説します。
- 円滑な解決を望める
- クレーム対応の代理が可能
- トラブルを未然に防止できる
順番にみていきましょう。
1. 円滑な解決が望める
弁護士に相談するメリットは、円滑な解決が望めることです。法律の知識や過去の判例から、企業がどのように対応するべきなのかアドバイスしてくれます。
さらに、弁護士が介入することで、相手方が話し合いに応じる場合があります。お互いの主張や事実確認を冷静に重ねることで、問題の円滑な解決が期待できるでしょう。
2. クレーム対応の代理が可能
弁護士は、企業の代理人としてクレーム対応を行います。つまり、相手方と直接やり取りをせずに、問題解決を目指せるということです。
企業は本来の業務に集中でき、売上やモチベーションの低下を避けられます。さらに、理不尽なクレーム対応における従業員の精神的な負担を軽減できるでしょう。
3. トラブルを未然に防止できる
弁護士に相談することで、顧客による迷惑行為や理不尽なクレームなどのトラブルを未然防止できます。
弁護士は、被害に遭った際の対応だけでなく、事前のクレーム対応の相談も行っているためです。問題が大きくなる前に、迅速な解決が期待できます。
悪質なクレーム対応の知識がある弁護士であれば、従業員向けに社内研修を開催してもらえる場合があります。
まとめ
悪質なクレーマーを訴える方法は、民事と刑事に分けられます。企業側に労力がかかったり、相手方との関係修復が難しかったりする注意点があるため、法的措置を取るべき事象なのかを考えましょう。
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