契約書作成 2022.01.28

【トラブル回避】契約書作成の6ステップ!代表的な契約書7種と6つの作成ルールを紹介

「契約書はなぜ必要なのだろうか」
「契約書作成の手順が知りたい」
「契約書作成でリスクを回避する方法は?」

契約書作成を行う際、とりあえず雛形を穴埋めするような形で済ませていないでしょうか。

契約書作成には、取り決めについて過不足なく記載することはもちろん、自社にとって不利のない内容にすることも大切です。しかし、具体的にど「のように契約書作成を行えば良いのか」「どんなルールを守ればよいのか」わからない方も多いのではないでしょうか。

そこで、こちらの記事では以下の内容について解説していきます。

  • 契約書作成が必要な3つの理由
  • 企業間で交わされる代表的な契約書
  • 契約書作成の流れ
  • 契約書作成時に守りたいルール
  • 契約書作成を弁護士に依頼するメリット

契約書作成について必要な知識を得られる内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。

契約書作成が必要な3つの理由

契約書作成が必要な理由

契約書作成が必要な理由は、主に3つあります。

  1. トラブルを未然に防ぐ
  2. 円滑に取引を行う
  3. コンプライアンスへの意識が高まる

1つずつ見ていきましょう。

1. トラブルを未然に防ぐ

契約書作成を行っておけば、トラブルを未然に防ぐことに繋がります。契約書は、必ず作成しなければならないということはありません。しかし、何か問題が発生したとき、契約書がないために大きなトラブルに発展するリスクがあります。

例えば「言った」「言わない」と、お互いの意見が食い違って収拾がつかなくなるというケースが挙げられます。取り決めの内容を契約書にしっかり記載しておけば、大きなトラブルへの発展を回避できるでしょう。

2. 円滑に取引を行う

企業間で細かいルールや複雑な取り決めがある場合でも、契約書作成を行っておくことで、当初取り交わした内容を忘れてしまう心配がありません。抜け漏れがなくなるので、契約内容を遂行する際に、迷わず円滑な取引が可能です。

自社内で、よくある契約内容の雛形を作っておけば、契約書作成をスムーズに進めるでしょう。

3. コンプライアンスへの意識が高まる

契約書作成をきちんと行うと、社内のコンプライアンスへの意識がより高まります。コンプライアンスへの意識が高まれば、業務の遂行にも良い影響を与えます。

コンプライアンスをしっかり守る企業であることを周囲にアピールできるので、企業の信頼度を上げることに繋がるでしょう。

企業間で交わされる代表的な契約書7選

企業間で交わされる代表的な契約書

企業間で交わされる契約書には、さまざまな種類があります。こちらでは、代表的な契約書を以下の7種類紹介します。

  1. 取引基本契約書
  2. 機密保持契約書
  3. 売買契約書
  4. 業務委託契約書
  5. 雇用契約書
  6. ライセンス契約書
  7. 販売代理店契約書

それぞれの特徴をチェックしてみてください。

1. 取引基本契約書

取引基本契約書は、基本契約書ともいいます。企業間で継続的な取引を行う場合に、毎回契約書を取り交わすのは煩雑な作業です。そこで、共通する内容をあらかじめ「取引基本契約書」で締結することで、個別の契約の取り交わしが簡潔に行えるというものです。

個々の取引条件を定める「個別契約書」とセットで利用します。個別契約書の代わりに、注文書や発注書で締結するケースもあります。

2. 機密保持契約書

機密保持契約書は「NDA(Non-DisclosureAgreement)」と省略されることもあります。機密情報を取引相手に渡す際に、情報漏洩のリスクを回避するために契約を交わします。

機密保持契約書を締結しておけば、たとえ機密情報が漏洩しても特許が取得できるという利点があります。万が一契約違反が発生した場合は、相手方に損害賠償を求めることも可能です。

3. 売買契約書

売買契約書は、売買を行う際に交わされる契約です。企業間の場合は仕入れ、購買、物販の契約に該当します。売買契約は、法的効力が発生するものではないため口頭のみでも成立可能です。しかし、トラブルを未然に防ぐためには書面に残しておいた方が安心です。

例えば、

  • 商品を納品したのに、期日までに決済が行われない
  • 代金を前払いしたが、商品が引き渡しされない

などの場合、売買契約書があればトラブルが発生したときに証拠として提示できます。

4. 業務委託契約書

業務委託契約書は、業務の委託者が受託者に対して業務を委託し、受託者は業務を遂行して報酬を受け取る際に締結するものです。業務の具体的な内容や取引条件、対価などを決定しておくために必要です。

「業務委託」は法的な定義がありません。一般的には以下2つのいずれか、または両者混合の契約を交わす際に該当します。

  • 請負契約:委託された業務の完成責任を負う
  • 委任/準委任契約:業務の遂行を行う

委託者は業務に対して指導することはなく、受託者が主体となって業務を遂行します。

5. 雇用契約書

雇用契約書は、企業が従業員を雇う際に締結します。雇用において契約書の作成自体は必須ではありません。しかし、企業は労働法により、労働条件を規定して労働者に明示する義務があります。

労働条件について、認識の違いによりトラブルが起こるケースがあるため、雇用契約書を交わしておいた方が安心です。雇用契約書を作成する場合は、労働条件を明示することに加えて、正社員やパートなど雇用形態に応じた内容を記載しなければなりません。

6. ライセンス契約書

ライセンス契約書は、特許実施許諾契約とも言います。自社が持つ特許や商標、著作権などを他社が使用・実施することを許諾する代わりに、ライセンス料やロイヤリティなどの対価を受け取る契約です。

知的財産をライセンスする側を「ライセンサー」、受ける側を「ライセンシー」と呼びます。両者間で「独占か非独占か」「期間」「ライセンス料」などを取り決めます。

7. 販売代理店契約書

販売代理店契約書とは、販売代理店がメーカーやサービス提供者の名前で売買取引の取次や仲介を行い、取引高に応じて手数料を取得する契約のことです。販売代理店契約書は、メーカーと顧客の間で直接取り交わします。販売代理店側は、メーカーの商品として顧客に販売するだけなので、契約当事者にはなりません。

よく似ている「販売店契約」と販売代理店契約との違いは、以下の通りです。

  • 販売店契約:販売店が契約当事者となり、販売者と顧客で売買契約を交わす
  • 販売代理店契約:販売代理店は契約当事者とならず、サービス供給者と顧客で売買契約を交わす

販売代理店契約書を締結していると、顧客からのクレームが入った場合は、販売代理店ではなくメーカーが対応することになります。

契約書作成の6ステップ

契約書作成の6ステップ

契約書を作成する手順は、大きく分けて6ステップです。

  1. 契約内容を確認する
  2. 原案を作成する
  3. 原案の確認と修正を行う
  4. 収入印紙を貼り付ける【必要な場合】
  5. 契約書に署名・押印する
  6. 契約書の郵送と保管を行う

基本的な流れをチェックする際に、お役立てください。

1. 契約内容を確認する

初めに、当事者間で契約内容を確認しておきます。具体的には、以下の項目を明らかにします。

  • 期間(いつまでに)
  • 金額(いくらで)
  • 義務(何をしてもらい、自社が何をするのか)

まずは双方が合意しなければ、契約を締結できません。

2. 原案を作成する

双方が合意した内容を元に、契約書の原案を作成します。契約書は、当事者のどちらが作成しても構いません。ただし、作成する側は文面の修正や交渉について主導権を握れるため、自社が優位な立場として進められるメリットがあります。

なお、原案の時点で契約年月日や署名・押印を行うと、その内容を許諾したということになるため注意が必要です。

3. 原案の確認と修正を行う

契約書の原案が社内で承認を得られたら、相手側に確認してもらいます。確認については、メールで行うケースが多いでしょう。もし相手側が契約書を作成したのであれば、内容に問題がないかどうか自社内の法務部門などでしっかり確認します。

主に確認する事項は、以下の通りです。

  • 合意した内容と異なっていないか
  • 合意した内容をきちんと記載しているか
  • 自社にとって不利な内容が書かれていないか

この時点で受け入れられない条件があれば、双方が納得するまで交渉を行います。最終的に合意が得られた内容について、修正を反映させます。

4. 収入印紙を貼り付ける【必要な場合】

収入印紙が必要な契約書は、必要な金額を貼付します。収入印紙の金額は、契約内容により異なります。

収入印紙の金額については、国税庁の「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」に細かく記載されているので、参考にしてみてください。

5. 契約書に署名・押印する

当事者の数だけ契約書を製本し、署名・押印を行います。署名と記名は異なるので、違いを明確にしておきましょう。

  • 署名:直筆による自署
  • 記名:ゴム印など、自署以外で名前を記載する

署名があれば、押印が無くても契約が成立しますが、日本ではまだ署名と押印を併用するのが一般的です。なお、押印はシャチハタでも有効ですが、複製されるリスクが高いので実印がおすすめです。企業であれば、社長印などを作成しているケースが多いでしょう。

6. 契約書の郵送と保管を行う

署名・押印が済んだ契約書は、当事者全員が1部ずつ保管します。郵送する場合は、紛失に備えて書留などを利用すると安心です。

契約書の保管は、期間が義務付けられています。

  • 会社法関連・・・10年
  • 経理関連・・・7年

契約が終了しても、保管期間が過ぎるまでは廃棄しないでおきましょう。

契約書作成時に守っておきたい6つのルール

契約書作成時に守っておきたい6つのルール

契約書作成時に守っておきたいルールを6つ紹介します。

  1. 言葉を省略せず正式名称で記載する
  2. 第三者にもわかりやすい内容にする
  3. 曖昧な表現は避ける
  4. 具体的な数値を記載する
  5. 契約内容は双方で確認し合う
  6. 契約書の雛形を流用しない

契約書作成を行う際の参考にしてみてください。

1. 言葉を省略せず正式名称で記載する

契約書には、業界用語などを省略せず正式名称で記載しましょう。万が一裁判に発展した場合、相手側や裁判所に正しい内容が伝わらず、別の意味に捉えられてトラブルに発展するリスクがあるためです。

いざというときに役に立たなければ、契約書を作成する意味がありません。業界では当たり前に使っている用語でも、正式名称であるか確認しながら作成すると良いでしょう。

2. 第三者にもわかりやすい内容にする

契約書の内容は、第三者が見てもわかりやすい内容にしましょう。言葉を省略しないことにも共通しますが、裁判に発展した際は契約書が証拠として機能します。当事者だけにわかる内容にしてしまうと、第三者が正しい判断を行えなくなるリスクがあります。

業界の人にはわかるとしても、何も知らない第三者が読んでも理解できるかまで考えて契約書を作成しましょう。

3. 曖昧な表現は避ける

契約書に記載する際は、曖昧表現を避けましょう。曖昧な表現は、複数の意味に捉えられる可能性があり、トラブルに発展するリスクが高まるからです。相手方と訴訟に発展した場合「そのような解釈はしていない」と言われてしまうと、契約書が証拠として機能しなくなってしまいます。

そもそも、曖昧な契約内容だと取引もスムーズに行えなくなるため、別の意味に解釈されないようはっきりとした表現で記載することが大切です。

4. 具体的な数値を記載する

数量で記載できるもの(納品数量や報酬金額など)は、なるべく具体的な数値を記載しておきましょう。数値で記載しておかないと、重要な項目が曖昧になり、契約書を作成した意味が半減してしまいます。

例えば「いつまでに何個納品すればよいのか」「どれくらいの作業を行うと、報酬はいくらなのか」などは、数値化しておくのがおすすめです。

5. 契約内容は双方で確認し合う

契約書の作成は、どちらか片方が行います。しかし、契約内容については、締結前に双方でしっかり確認し合っておきましょう。成立前に契約内容を確認しておかないと、後に「そんなことが記載されているなんて知らなかった」とトラブルになる可能性があるためです。

特に、争点になりそうな部分は念を押して確認しておきましょう。相手の企業と良好な関係を維持するためにも大切なことです。相手方に不利な条件を記載するなら、締結前にきちんと確認してもらいましょう。

6. 契約書の雛形を流用しない

契約書作成作業が煩雑で、インターネットに掲載されている雛形をそのまま流用しようと考える企業もあるでしょう。しかし、インターネットに掲載されている雛形は汎用性が高い反面、個別の状況には対応しきれないケースが多くなっています。

当事者間の状況にマッチしない契約書の雛形を流用すると、重要なことが記載できず後にトラブルに発展するリスクが高まります。雛形を利用するとしても、穴埋めではなく必要に応じて自社の業務内容に合うよう変えておきましょう。

契約書作成を弁護士に依頼する3つのメリット

契約書作成を弁護士に依頼する3つのメリット

契約書作成は、きちんと内容を記載しておかないとトラブルに発展します。自社内で作成するのが不安なら、弁護士に依頼するのがおすすめです。こちらでは、契約書作成を弁護士に依頼するメリットを3つ紹介します。

  1. 自社の利益を確保できる
  2. トラブルを回避できる
  3. 自社の事情を契約書に盛り込める

必要に応じて、弁護士に依頼することも検討してみてください。

1. 自社の利益を確保できる

契約書作成を弁護士に依頼すると、自社の利益を確保することに繋がります。例えば、インターネットに掲載されている雛形を利用する場合、中立的な立場で作成するようになっていることがほとんどです。

しかし、弁護士に依頼すれば、必要に応じて自社にとって有利な内容を盛り込めます。さらに契約内容が法律に違反していないかもチェックしてもらえるので、安心です。

2. トラブルを回避できる

弁護士に契約書作成を依頼すると、トラブルを回避することに繋がります。当事者同士で契約書を作成する場合、具体的な内容が記載されておらず、曖昧になっているケースが多いです。曖昧な内容に対しては、企業間で解釈が異なりトラブルに発展するリスクが高まります。

あらかじめ弁護士に契約書作成を依頼しておけば、将来起こりうるトラブルを未然に防ぐことにつながります。

3. 自社の事情を契約書に盛り込める

弁護士に契約書作成を依頼すれば、自社の事情を汲み取ってくれるので契約に反映できます。企業間で特殊な事情を盛り込みたいと考えても、雛形の契約書では対応しきれません。

しかし、弁護士なら個々の特殊な事情をヒアリングして、契約書に適切に盛り込んでくれます。契約書は、企業が変われば内容も変わります。その都度自社で対応するのが困難な場合は、法律のプロである弁護士に依頼した方が負担が軽減されるでしょう。

契約書作成を弁護士に依頼するなら、顧問契約がおすすめです。弁護士と顧問契約するメリットについては、関連記事「【これで安心】弁護士と顧問契約を行うメリット8選デメリット3選!探し方・選び方も解説」にて解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

契約書作成は、企業間でスムーズな取引を行う際に重要です。トラブルに発展しそうなケースでも、契約書に争点になりそうな点がしっかり記載されていれば、責任の所在を明らかにできます。

法的効力を持ち、過不足ない内容の契約書を作成するなら、法律の専門家である弁護士に相談したほうが安心です。しかし、契約書作成のたびに弁護士に依頼するのは手間も費用もかかります。

契約書作成する機会が多いなら、弁護士と顧問契約を交わすのがおすすめです。気軽に相談できる「オンライン顧問弁護士」は、全国どこからでもインターネットを通じて利用できます。まずは30分無料の顧問体験をご利用ください。

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