Pickup 2023.07.31

依頼者本人が裁判所に行く必要はある?何を準備しどう対処するか

目次

裁判所に行く必要があるケース①尋問期日
裁判所に行く必要があるケース②和解期日
判決を聞きに行く必要はない
最後に

裁判を弁護士に依頼した場合、基本的に依頼者の方が裁判所へ出頭する必要はありません。その時々で弁護士と打ち合わせを行う必要はあるものの、平日の忙しい時間を裁判に奪われることがなくなるというのが、依頼するにあたっての1つのメリットです。ただし、幾つかの場面では当事者本人も裁判所へ出頭しないといけないことがあります。

裁判所に行く必要があるケース①尋問期日

裁判所に必要があるケース①尋問期日

まず出頭の必要があるのは尋問期日です。尋問期日では、当事者(原告・被告)本人が証言台に立ち、双方の弁護士からの質問に答えるという手続きが行われます。「証人尋問」という言葉を聞くとイメージの沸く方も多いのではないでしょうか。細かい話ですが、民事裁判で当事者の尋問を行う場合には、証人尋問ではなく「本人尋問」と呼ばれます。

尋問期日は裁判の終盤に設定される、山場といっていい場面です。期日前には弁護士と綿密な準備を行うことになり、複数回の打ち合わせを行うことも珍しくありませんので、依頼者の方にとって尋問期日前の1か月ほどは非常に忙しい時期になると思います。

なお、今回のテーマからは少し離れますが、尋問を受けに行くときにはスーツがいいか、というご質問もよく受けます。服装や髪の色で裁判の結論が変わることはありませんが、さりとて裁判官も人間ですので、あまりラフすぎる格好も良くはありません。取引先の方と会っても失礼ではない程度の服装を心掛けるべきでしょう。普段スーツを着慣れない方は、ビジネスカジュアル程度の服装でも構わないと思います。

裁判所に行く必要があるケース②和解期日

裁判所に行く必要があるケース②和解期日

必ずという訳ではありませんが、和解を行う場合に裁判所へ行く必要があることもあります。通常、和解を行う際には、裁判官から見解が弁護士に伝えられ、次回の期日までにそれぞれ当事者間で条件を調整するという流れになります。ただ、これでは時間が掛かってしまいます。

そこで和解成立に積極的な裁判官は、和解期日という裁判日程を設定したうえで、弁護士と共に当事者本人の出頭を求め、その場で説得を行うことがあります。タイミングとしては双方の主張立証が終わり、後は判決を行うか和解をするかという場面であることが殆どでしょう。当事者としても、裁判官に本人の気持ちを分かって貰う良い機会になりますし、スピード感を持って物事を決めることができるという点でメリットがあります。

和解の話し合いは、尋問期日が終わった後に時間を取って行われることも多いです。尋問が終わった後に話し合いにも参加しなければならないということですので、当事者としては非常に疲れる1日になります。念のため、尋問期日の日は1日お休みを取って頂くことをお勧めします。

判決を聞きに行く必要はない

判決は聞きに行く必要はない

あまり知られていないことですが、判決が下される日に裁判所へ行く必要はありません。法律上、判決期日に当事者本人が裁判所へ出頭することは義務付けられていないのです。更に言えば、ご本人だけではなく弁護士すらも裁判所へは行きません。これは何も弁護士がサボっているわけではなく、裁判所に行くメリットが特にないためです。

民事裁判の判決期日では、裁判官が(多くの場合は誰も居ない法廷で)判決の結論部分(「主文」といいます。)だけを読み上げることが殆どです。「原告は被告に対し〇〇円を支払え。」「原告の請求を棄却する。」といった具合です。どのようなことを判断して結論に至ったのか、という理由の部分はその場で読み上げてくれないので、実際に判決を聞きに行っても何故そのような判断がなされたのかは分かりません。当事者は、後日交付される判決正本で理由を確認し、控訴すべきかどうかを判断することになります。

そうは言っても結論が早く分かるメリットがあるではないか、と思われる方もいらっしゃるかと思います。しかし、実のところ判決内容は、法廷での言い渡しが終わった後に裁判所へ電話すれば教えてくれるのです。弁護士は判決のあった日の午後ぐらいに担当の書記官に電話して「判決内容を教えてください」とお願いしている場合が殆どです。

なお、どうしても判決を法廷で聞きたいという方には傍聴席に座って聞くことをお勧めします。控訴期間は判決正本を受け取った瞬間から始まるのですが、出席当事者が居れば、裁判所書記官はその場で判決書を渡そうとします。その場で受け取ってしまうと、判決当日から2週間以内に控訴をするかどうか決定しなければなりません。

当事者席に座っているにもかかわらず、書記官に「判決正本は後日渡してください」とお願いするのも少し気まずいですし、よく分からない内に判決正本を受け取ってしまうということもあるかと思いますので、傍聴席に座っておくのが無難でしょう。

最後に

最後に

事実関係に関する対立が根深い事件ですと、当事者本人の尋問はほぼ確実に行われます。尋問を行う前に和解が成立する場合もありますが、基本的には、原告になった場合でも、被告になった場合でも、1度は裁判所で尋問を受けるかも知れないと考えておいて頂ければと思います。

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