多くの株式会社の定款では、「定時株主総会は毎決算期の3カ月以内にこれを招集する」と規定を置いています。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大から延期をする会社が続出しています。延期したとき、株主総会を有効に行うのか、取締役会にて招集日時を決議する日などを勘案して、法務省や経済産業省から見解が公表されています。
目次
コロナ禍での開催延期対応
①株主総会の開催時期は?
②株主総会の議決権行使の基準日は?
③配当金の取り扱いは?
オンライン株主総会の開催
1. バーチャル株主総会
2. ハイブリッド型バーチャル株主総会
2-1 ハイブリッド参加型バーチャル株主総会
2-2 ハイブリッド出席型バーチャル株主総会
みなし決議(書面決議)
事業報告・計算書類の書類送付が間に合わないときは?
まとめ
コロナ禍での開催延期対応
①株主総会の開催時期は?
定款の定めがある場合でも、新型コロナ感染症の感染拡大から株主総会が開催できない場合には、その事情が解消された後の合理的な期間内に開催すればよいと考えられます。
②株主総会の議決権行使の基準日は?
会社法124条により基準日に株主名簿等に記載されている株主が3カ月以内に行使できる内容を定めます。
しかし、株主総会を基準日から3カ月以内に開催できない場合には、新たに基準日を定め、その基準日の2週間前までに、所定の事項を抗告する必要があります。
③配当金の取り扱いは?
剰余金の配当をいつ行うかについては、定款に基準日とその基準日に配当を支払う旨を定めることが多くあります。
新型コロナ感染症の感染拡大の影響から、その基準日に配当を支払うことができない場合は、新たに基準日を定め、その基準日の2週間以内に公告をする必要があります。
【ご参考】
(※1)法務省・「定時株主総会の開催について
(※2)経済産業省「株主総会運営に係るQ&A」
オンライン株主総会の開催
新型コロナウイルスの完全な収束は難しく、株主総会での感染リスクを避けるため、オンラインでの開催が注目されています。
1. バーチャル株主総会
リアルの会場に株主を集めることなく、取締役や株主がWEB会議などの手段を用いて、オンライン上で株主総会に、会社法上の「出席」をします。出席した株主は、議決権行使や質問が行えます。
2. ハイブリッド型バーチャル株主総会
リアルの会場で施している株主総会を、WEB会議などのオンライン上で配信します。全てがオンラインではないにしろ、参加者を減らすことで感染防止などの対策が行えます。
2-1 ハイブリッド参加型バーチャル株主総会
会社法上の「出席」を伴わずに、審議などの確認、傍聴ができます。議決権行使は行えません。
2-2 ハイブリッド出席型バーチャル株主総会
会社法上の「出席」をオンライン上で行い、議決権行使や質問が行えます。
みなし決議(書面決議)
そもそも、株主が少なく、普段から連絡を取りやすい状態にあれば、開催自体を省略し、書面決議とする方法もあります。株主全員の賛成のもと、全株主から同意書を取得することが必要となります。
事業報告・計算書類の書類送付が間に合わないときは?
下記の会社法施行規則・会社計算規則では、従来の通りのウェブ開示に加え招集の通知の際に、書面により株主に提供していた単体の
「1.貸借対照表」や「2.損益計算書」
の2点が追加されることになります。
改正予定とされる会社法施行規則・会社計算規則では「施行の日から6か月以内に招集の手続が開始される定時株主総会に係る事業報告及び計算書類の提供に限り、いわゆるウェブ開示によるみなし提供制度の対象となる事項の範囲を拡大する省令の改正をする」とされています。
そこで、一定の条件の下で、所定の期間継続してインターネット上のウェブサイトに掲載し、株主にそのウェブサイトを通知すれば、株主に提供したとみなされます。
まとめ
コロナ禍でリモートワークが進むなど、世の中の変化が著しい中、株主総会のあり方もオンラインを中心とした開催に移り変わっていくことが予測されます。
株主総会の実施については、法改正の内容や関係省庁の解釈指針を適切に把握するとともに、専門家への相談をおすすめします。
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